中外薬の1~3月、純利益2.8倍 コロナ治療薬が寄与

中外製薬が25日に発表した2022年1~3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比2.8倍の1317億円だった。同期間として過去最高となる。21年7~9月期から販売が始まった新型コロナウイルスの治療薬の売上高が全体を押し上げた。血友病治療薬「ヘムライブラ」の輸出も好調だった。
売上高にあたる売上収益は2.1倍の3605億円だった。コロナ治療に使う抗体カクテル療法「ロナプリーブ」を政府に納入し、売上高で608億円を計上した。ロナプリーブの売上高は21年7~9月期に428億円、21年10~12月期に346億円を計上している。
ヘムライブラの海外売上高は親会社のスイス・ロシュ向けを中心に5.3倍の447億円に伸びた。コロナの重症肺炎患者向けの関節リウマチ薬「アクテムラ」の輸出も伸びた。3月に米バイオ製薬会社との特許訴訟で和解し、一時金919億円を計上したことも全体を押し上げた。
22年12月期通期の業績予想は据え置いた。同社は経常的な業績指標として「コア」を算出している。コア売上収益は前期比15%増の1兆1500億円、無形資産の償却などを除いたコア純利益は微増の3125億円を見込む。
ロナプリーブについては3月末に政府と22年度の供給契約を結び、今期の売上高は2.6倍の1990億円となる見通し。山口哲弥上席執行役員は「ロナプリーブの政府調達は将来の変異株に対する可能性を踏まえたうえで、備蓄しようという判断がされたと理解している」と述べた。
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