はるやまHDが一転最終赤字、スーツ低迷 22年3月期
はるやまホールディングスは16日、2022年3月期の連結最終損益が59億円の赤字(前期は48億円の赤字)になる見通しと発表した。従来予想で1億円の黒字回復を見込んでいたが、2期連続の赤字になる。新型コロナウイルス禍で低価格のスーツなどを投入したものの「第6波」が響く。未定だった配当はゼロ(前期は15円50銭)とする。無配は1994年の上場以降で初だ。

売上高は前期比4%減の367億円と43億円下方修正した。成人式や就活といったイベントが集中してスーツ需要が高まる1~3月に変異型「オミクロン型」が流行。「まん延防止等重点措置」の適用も重なり客足が鈍った。上下約5000円のスーツや再生素材を縫製したシャツは人気を集めたが補いきれなかった。
同社は21年4月から22年2月末までに全体の1割弱に当たる約30店舗を閉じた。これに伴い16億円の特別損失も計上し、最終赤字幅は前期から拡大する。
スーツ業界の経営環境が厳しさを増す中、最大手の青山商事は郊外店の一部を100円ショップのフランチャイズチェーン(FC)に切り替えている。AOKIホールディングスも複合カフェで家族客の利用を取り込むなど店舗網を活用した多角化の動きも広がる。「脱スーツ一辺倒」で2社の21年4~12月期は連結最終損益の赤字幅が大幅に縮小した。
はるやまHDも一部店舗でカフェやネット接続のできる仕事場などを用意するが、売上高の大部分は服飾で影響が大きい。
自己資本比率は21年12月末時点で51%あるものの低下傾向にある。アフターコロナを見据え、在庫負担のないオーダー事業強化や実店舗でスーツに次ぐサービスを増やすなど、踏み込んだ改革が焦点になる。