積水化学工業、米国で放熱材料の新工場 EV向け主軸

積水化学工業は16日、電気自動車(EV)用電池などに使う樹脂製の放熱材料の工場を米ケンタッキー州に新設すると発表した。既に工事を始めており、8月の稼働開始を目指す。建屋の面積は約3000平方メートルで、投資額は数十億円という。米国でのEV市場拡大に対応する。
新設するのは子会社の積水ポリマテックの工場だ。同社の放熱材料は高い熱伝導性と塗布後にガスなどが発生しにくい点が評価されているという。2020年には約20億円を投じてオランダに放熱材料の工場を新設した。今回の新工場によって、日本や中国、タイと合わせて計5カ国での生産体制になる。これまでは日本やオランダで生産した製品を米国に出荷していたが、新工場によって輸送のコストや時間を圧縮できる。
電池は高温になると出力低下など品質が劣化するため、放熱材料を塗って熱を逃がす。EV向けでは工場の自動化に適したグリス状(半液状)のニーズが強く、新工場では主力製品として生産する。放熱材事業全体の売上高は22年度で約90億円という。