楽天、リアル店舗のマーケ支援 1億超の会員データ活用

楽天グループは16日、小売店や飲食店向けのマーケティングツールの販売を始めた。AI(人工知能)を活用し、1億超の会員がいる「楽天経済圏」が生み出すデータから、消費者の需要を商圏ごとに分析する。競合店と比べた弱点などを見つけ出し、店舗運営の改善につなげる。
楽天の共通ポイント「楽天ポイントカード」などを手がける、子会社の楽天ペイメント(東京・港)が販売する。チェーン展開するスーパーマーケットやドラッグストアのほか、外食チェーンやコンビニエンスストアでの利用を想定する。共通ポイントの導入店向けのサービスで、料金は月額課金制とした。
個人情報がわからないよう加工したビッグデータから、AIが家族構成や生活様式を推測し、顧客層を分類する。これにより、商圏での消費行動を浮かび上がらせる。自社以外の店舗でどのような買い物をしているかが把握できるようになり、品ぞろえの改善や価格設定に生かせる。
開発には楽天と東急が設立した「楽天東急プランニング」が協力した。東急ストアが運営するスーパー「東急ストア」での実証実験では、データ解析に基づき特定の顧客層に販促を強化したところ、客単価が12%増える効果を確認できたとする。
楽天ペイメントの笠原和彦副社長は「EC(電子商取引)のデータを活用することで、リアル店舗の底上げにつなげたい」と話す。
(宮嶋梓帆)