アルツハイマー病、脳に超音波で治療 早期審査対象に
東北大学の下川宏明客員教授らが開発しているアルツハイマー病の治療を目指す超音波機器が、厚生労働省の審議会で画期的な医療機器候補の審査を優遇する「先駆的医療機器指定制度」の対象品目に指定されることが了承された。東北大学発スタートアップが2022年度内にも臨床試験(治験)を始める計画で25年度の承認申請を目指す。
開発中の装置は、患者の頭に専用装置をつけて超音波をあてる。血管拡張作用のある一酸化窒素を合成する酵素を脳内で増やし、認知機能低下の抑制につなげる。血流の増加や、アルツハイマー病の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドベータ」の蓄積を抑える効果が期待できるという。
5日付で審議会において指定が了承され、今後厚労相が指定する。薬事承認の相談や審査において優遇を受けられる。
医師主導治験で安全性を確認した。早期のアルツハイマー病の15人を対象にしたもので、治療効果は示せなかった。研究チームは「人数を増やせば有効性があることが強く示唆される結果だった」という。
東北大発スタートアップのサウンドウェーブイノベーション(SWI、東京・中央)が今後治験を進める。22年度内に全国15施設で約200人を対象に行う計画だ。海外での治験も視野に入れる。25年度の承認申請を目指す。