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アサヒ、0.5%「微アル」飲料 健康配慮で新市場の芽

缶などに純アルコール量を表示する流れが強まっている
日経ビジネス電子版

アルコールによる健康障害への対策を推進する「アルコール健康障害対策基本法(アル健法)」がアルコール度数1%未満の「微アルコール」市場を生み出すかもしれない。

アサヒビールは3月30日、アルコール度数0.5%のビールテイスト飲料「アサヒ ビアリー」を発売した。酒税法における「酒類」は度数1%以上となるため、ビアリーは「清涼飲料水」に分類される。健康志向の強い若年層を狙った商品で、低アルコール飲料の市場拡大を見越して開発された。

アサヒビールが注目したのがアル健法に基づく「アルコール健康障害対策推進基本計画」だ。

政府は3月26日、2021~25年度が対象となる第2期の基本計画で、商品容器にアルコール量をグラム表示するよう酒類メーカーに促すことを閣議決定した。酒税法の関連法令によって酒類は容器への度数表示が義務付けられているものの、これまでグラムは未表示だった。

酒類に含まれる純アルコール量(グラム)は飲酒量(ミリリットル)と度数(%)を掛けたものに、アルコールの比重0.8を乗じなければ分からない。厚生労働省は「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日当たり純アルコール摂取量で男性40グラム、女性20グラムとしている。この量が分かれば適切な飲酒量を意識する消費者が増えるとみられる。

ここ数年はアルコール度数の高い「ストロング系」の缶チューハイが人気だったが、常飲によるアルコール依存症に警鐘を鳴らす医療関係者も増えていた。政府の基本計画もアルコール依存症など、飲酒による社会問題を解決に導く対策といえる。

適正飲酒の推進はSDGs

適正飲酒の推進は世界的な傾向だ。10年に世界保健機関(WHO)が各国にアルコール問題への対策を促す「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を総会で採択。これを受けて日本は14年にアルコール健康障害対策基本法を施行し、酒類メーカー各社に対策を促してきた。

キリンホールディングスは17年、SDGs(持続可能な開発目標)などを参考に「CSV(共通価値の創造)コミットメント」を策定した。純アルコール量のラベル表示を宣言しており、6月上旬をめどにホームページでワインなどを除いた商品のアルコール量をグラムで記載する計画で、24年までに缶や瓶でも表示を始める。

サントリーホールディングス、サッポロホールディングスも年内にホームページにアルコール量をグラムで掲載する予定だ。

最近は都内に完全ノンアルコールバーがオープンするなど日常的に飲酒をしない層が増えている。アサヒビールによると20~60代の人口約8000万人のうち半数に当たる約4000万人が「お酒を飲めない」「飲めるが飲まない」層で、特に20~30代に多い傾向だ。

酒類メーカー各社が純アルコール量を表示すれば、健康を意識した消費者が飲酒を控えて販売が伸び悩む可能性もある。だが、消費者の健康に配慮しなければ、長期的な事業の発展は見込めない。ノンアルコールと酒類の隙間を突いた低アルコール商品の開発は、時代の要請となっている。

(日経ビジネス 江村英哲)

[日経ビジネス 2021年4月19日号の記事を再構成]

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