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超音速旅客機、JAXAやIHIなど開発 2030年想定

米ボーイングなどと

JAXAが研究開発を進める超音速旅客機のイメージ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、IHIなどと超音速旅客機の研究開発に向けた官民一体の協議会を立ち上げたと発表した。開発主体の立場で、米ボーイングなどと共同開発をめざす。次世代の移動手段として世界的に注目が高まる超音速旅客機で各者のノウハウを持ち寄り、欧米大手の「下請け」からの脱却を狙う。

新しい協議会「ジャパン・スーパーソニック・リサーチ」(JSR)にはJAXAとIHIのほかに、三菱重工業川崎重工業日本航空機開発協会(東京・千代田)などが加わった。2030年ごろに想定するボーイングなどとの超音速旅客機開発に参画する考えだ。

いまの日本の航空産業はボーイングや欧州エアバスに胴体や翼などを供給する立場にとどまる。開発主体になれば新しい技術の方向性を自ら決められるだけでなく、製造販売面での利幅も大きくなるとみられる。

超音速旅客機はマッハ1(音速=時速1224キロメートル)以上の速さで飛び、現在は約10時間かかるサンフランシスコ―東京間を6時間で結べる。運賃はいまより高くなるとみられるが、長距離を素早く移動したい企業幹部や政府要人、富裕層向けを中心に、今後10年で1000~2000機の需要が生まれるとの試算もある。災害など緊急時の対応が迅速になるとの期待もある。

実用化への課題は、高速飛行で生じる衝撃波が地上に届いた際に発生する大きな騒音「ソニックブーム」だ。英仏が開発し03年に退役した超音速旅客機「コンコルド」も音速飛行は海上のみだった。JAXAは衝撃波を抑える研究を10年続けてきた。機体を先が長くとがった流線形とし、足元では実際にエンジンを積んで飛ばすための詳細な機体設計に取り組んでいる。

メーカー各社も既存の航空機向けのノウハウを超音速機にも応用する考えだ。川崎重工は機体にかかる風力や騒音を測定できる大型設備を持つ。航空機開発で課題となる環境技術でも日本の強みを生かす。IHIは航空機エンジンの低燃費化技術を持つほか、JAXAは空気の流れから機体が受ける摩擦などの影響を20年時点でコンコルドに使われた技術に比べ13%改善した。機体全体の重さも同21%軽くし、飛行に必要な燃料を減らす技術検証に取り組んでいる。

超音速旅客機は米新興企業のブーム・スーパーソニック(コロラド州)なども開発している。同社が開発中の「Overture」は最大88人乗りで、1機2億ドル(約220億円)が目安。同社とは米ユナイテッド航空が29年の商用利用をめざして購入契約を結んだほか、日本航空も出資している。米国でほかにも超音速旅客機の開発計画は複数進んでいる。

日本勢は三菱重工が国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発を凍結するなど欧米に後れを取っている。超音速旅客機も開発ハードルは高いが、東京都立大学の金崎雅博教授は「JAXAをはじめ日本が持つ超音速機の技術や研究の蓄積は世界でもトップレベルにある」と語り、一定の勝機はあるとみる。

研究開発を進めれば、超音速機以外の分野での恩恵がありそうだ。東北大学の永井大樹教授は「騒音対策や空気抵抗を減らす技術は、ドローン(小型無人機)や他の航空機にも応用できる」と指摘する。企業を交えて技術の蓄積をどのように現実に生かすか工夫が求められそうだ。

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