INPEXが新潟で国内初のブルー水素製造 約100億円投資

INPEXは15日、新潟県で天然ガスから水素をつくると発表した。製造規模は年間700トンで、製造時に出る二酸化炭素(CO2)を地下に貯留して実質排出ゼロとみなす「ブルー水素」の国内初製造を目指す。2025年8月から供給を始め、燃料アンモニア製造や水素発電への利用を見込む。
23年夏ごろから本格的な工事を始める。県内の南長岡ガス田からパイプラインで運んだ天然ガスを使う。製造した水素のうち、600トンを水素発電に使い、一般家庭300世帯分に相当する1000キロワットの電力を電力会社に送電する。残りの水素は年間500トンのブルーアンモニアを製造するのに使う。
総事業費は100億円規模で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が半分を補助する。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も支援する。水素製造時のCO2は近隣の東柏崎ガス田に圧入する予定。CO2が地下の天然ガスを押し出す働きをし、生産量の回復が見込める。
水素やアンモニアは燃焼時にCO2を出さない次世代燃料として期待されるが、まだ製造・輸送の供給網が存在しない。INPEXは実証を通じて操業ノウハウを得たい考え。30年ごろには別の3件以上のプロジェクトを事業化し、年間10万トンの水素・アンモニアを製造する計画。
15日会見した池田隆彦副社長は「事業化にあたっては5000~1万トンの規模から段階的に10倍程度に拡大することを想定している」と話した。

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