国内クラウド市場、26年に10兆円規模に 民間調査
調査会社のIDCジャパン(東京・千代田)は14日、国内のクラウドサービス市場規模に関する予測を発表した。2021年の国内クラウド市場は4兆2018億円と、前年比34.7%増えた。同社は26年の市場規模は21年の約2.6倍にあたる10兆9381億円になると予測した。IDCジャパンは市場の成長をけん引するパブリッククラウドの利用増加の背景として、クラウドの利用を優先的に検討する「クラウドファースト」の戦略が企業に浸透したことなどを挙げた。

21年のクラウド市場は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で成長がやや鈍化した20年から大きく回復した。中でも成長をけん引したパブリッククラウドに関しては、IDCジャパンの21年5月時点の予測を大きく上回ったという。要因はクラウドファーストの浸透に加え、従来システムを運用していたオンプレミス(自社所有)環境からクラウドへの移行プロジェクトの期間短縮や、サービス事業者による人員拡充などを挙げる。
国内でデジタルトランスフォーメーション(DX)やデータをもとに意思決定する「データ駆動型ビジネス」への関心が高まったこともパブリッククラウド市場が急成長した理由の1つだ。「DX/データ駆動型ビジネス」に関する市場は21年に1兆円を超え、IDCジャパンは今後の国内クラウド市場の成長をけん引するのはDX/データ駆動型ビジネスだとしている。
一方で同社はクラウドサービスを効果的に活用するにはアーキテクチャーへの理解や技術が必要と指摘。事業者はサービスのエコシステムを強化して、ユーザー企業がシンプルにサービスを導入できる環境を整備すべきだと述べた。
(日経クロステック/日経コンピュータ 貴島逸斗)
[日経クロステック 2022年6月14日掲載]
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