/

中外薬、最高益2930億円 今期、コロナ薬で上振れ

「コア純利益」

中外製薬は22日、2021年12月期の「連結コア純利益」(国際会計基準、無形資産の償却などを除いた連結純利益)が前期比34%増の2930億円になりそうだと発表した。従来予想を610億円上回り過去最高益となる見通しだ。新型コロナウイルスの治療薬の収益が寄与し業績の追い風になるが、株式市場では来期の反動減への警戒も広がる。

「コロナ治療薬などが順調に推移し過去最高の決算を見込む」。22日に開いたオンライン決算説明会で、奥田修最高経営責任者(CEO)は21年12月期の業績についてこう話した。売上高にあたる売上収益の見通しは23%増の9700億円と従来予想から1700億円引き上げた。

コロナ関連で二つの上方修正要因があった。一つ目は、新型コロナの治療に使う抗体カクテル療法「ロナプリーブ」だ。親会社のスイス・ロシュと米バイオ企業が共同開発した薬で中外製薬は国内の開発・販売を担う。

ロナプリーブは7月に国内初の軽症者向け治療薬として厚生労働省から特例承認を受けた。厚労省によれば20日までに約3万6000人が投与を受けた。10月には、家族など濃厚接触者にもロナプリーブの利用対象を広げるように国内で申請している。期初時点の業績見通しにはロナプリーブの寄与は織り込まれていなかったが、21年12月期で823億円の売り上げを見込み、これが業績の上方修正につながった。

もう一つは、重症のコロナ患者の治療に使われる関節リウマチ薬「アクテムラ」の輸出の増加だ。中外製薬が開発した薬で、6月に米国で緊急使用許可を取得するなど海外で利用が進む。アクテムラの海外売り上げ見通しは1027億円と、従来予想(853億円)から大きく引き上げた。

売上収益の増加に伴い、連結コア営業利益(無形資産の償却などを除いた連結営業利益)の見通しは30%増の4000億円と従来予想から800億円引き上げた。

同日発表した21年1~9月期の連結決算は、売上収益が前年同期比18%増の6774億円、純利益が26%増の2041億円だった。

業績は拡大する一方、株式市場での評価は低調だ。年初からの株価騰落率を比べると、中外製薬株は30%安と、第一三共(22%安)やアステラス製薬(23%高)など他の製薬大手を下回る。ゴールドマン・サックス証券の植田晃然氏は「21年12月期に増益要因が集中し来期に減益になるリスクを警戒している」と指摘する。

22日時点の22年12月期の連結純利益の市場予想の平均値(QUICKコンセンサス、9社)は今期市場予想比9%減の2472億円だ。要因の1つが、血友病治療薬「ヘムライブラ」に関連しロシュから受け取る初期出荷分のロイヤルティー収入の減少だ。今期に965億円の収益貢献を見込むが、22年12月期には50億~100億円に減る見通しだ。

コロナ関連の薬の需要の持続性も不透明だ。世界の製薬大手が簡便なコロナ飲み薬の開発を進めるなか、「競合薬が増え中外製薬の薬が使われなくなるリスクもある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の熊谷直美氏)との指摘もある。中外製薬などが開発するコロナ経口薬「AT-527」では、直近の臨床試験(治験)で有効性を巡る懸念が浮上した。

中外製薬は22日、期末配当を従来の30円から「未定」とした。理由について「新型コロナなど事業環境が大きく変化することに鑑み、期末に決定する」(同社)と説明している。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

新型コロナ

新型コロナウイルスの関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

ワクチン・治療薬 国内 海外 感染状況 論文・調査 Nikkei Asia

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン