ダイドーとアサヒ、自販機運営を一部統合 新会社設立

ダイドードリンコとアサヒ飲料は15日、自動販売機の運営を一部統合すると発表した。共同持ち株会社を2023年1月23日付で設立し、アサヒ傘下とダイドー傘下の計6社を束ねる。両社が現在直販している自販機の運営を管理し、商品の相互販売も進める。
コンビニエンスストアへの客足シフトに加え、新型コロナウイルス禍による外出時の需要減少という逆風が自販機事業に吹くなか、飲料各社は提携などで効率化を急ぐ。
15日、両社は包括的業務提携を締結した。両社それぞれの傘下にある自販機運営の計6社の株式を移転する形で共同持ち株会社「ダイナミックベンディングネットワーク」(大阪市)を設立する。資本金は5000万円で、ダイドーが66.6%、アサヒが33.4%を出資する。同日、オンラインで記者会見したダイドーの中島孝徳社長は「新会社によりオペレーションの品質を高め、(業界全体で国内220万台の)自販機市場で存在感を高める」と述べた。

自販機の資産や人員は傘下6社を通じ、新会社による一体運営とする。アサヒは直販やオペレーション委託の形式で抱える26万台のうち、直販事業の7万台を新会社に移管する。ダイドーも同様に27万台のうち13万台を移し、新会社では約20万台の自販機を扱うことになる。売上高規模は約1000億円という。
ダイドーは自販機のどの商品がどれだけ売れているか、リアルタイムでデータを集める「IoT」対応の自販機を開発しており、アサヒはこうしたノウハウを直販自販機に導入する考えだ。
相互販売も拡大する。両社は18年以降、ダイドーの自販機でアサヒの「カルピスウォーター」を売るなど連携してきた。23年3月以降は、ダイドーの自販機でアサヒの「ウィルキンソンタンサン レモン」「モンスターエナジー」の2品を、アサヒの自販機で「ダイドーブレンド デミタス微糖」を新たに販売する。
また、製造原価の低減を目的に、23年以降をめどに、ダイドーの商品の一部をアサヒ飲料の工場に製造委託する。「どの商品をどこの工場で作るかは検討中」(アサヒ飲料)としている。

アサヒとダイドーの事業提携の背景にあるのは自販機を通じた飲料販売の低迷だ。コンビニとの競争激化もあり減少傾向が続いている。コロナ禍に入ってからは外出時の需要が減り、オフィスや駅、観光地などでの販売が厳しい。
飲料業界では自販機事業で連携の動きが広がっている。キリンビバレッジはヤクルト本社と自販機で商品の相互販売を進めるほか、アサヒ飲料はキリンビバレッジと自販機のメンテナンスで協業するなどの例がある。アサヒとダイドーは共同の運営会社の設立まで踏み込むことで連携を加速させる。自販機分野での合従連衡が一段と進む可能性がある。