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「命の経済」への思い

SmartTimes BEENEXT ファウンダー・マネージングパートナー 佐藤輝英氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

欧州最高の知性と称されるジャック・アタリ氏が、昨年「命の経済」を執筆された。パンデミックという全世界的な危機を迎え、改めて命について考え、人類のおかれている状況について思いを馳せ、人々の安全や将来世代のため、生活のあり方や思考を変え「命の経済」へと向かわなければならない。パンデミック後も経済、自由、文明を崩壊させないためには「予期せぬ未知の出来事へ備えが必要である」と説いている。まさに慧眼である。

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

アジア新興国も課題で満載だ。所得、教育、医療の格差。経済成長に伴う森林伐採と大気汚染。慢性化する交通渋滞と洪水被害。そこにコロナが追い討ちをかけるように現れた。気候変動問題もアジア全域に覆い被さる。短期の課題と長期の課題が、打ち寄せる波のごとく交互に表出し、顕在化してきている感覚である。

そんな課題の宝庫であるアジア新興国に見るイノベーションのパターンを「課題解決型イノベーション」と呼ぶようにしている。先進各国にみる最先端の科学技術をベースにした発明ではなく、世の中で既に適用可能な技術を、社会課題解決や豊かさ向上に利用していくイノベーションの型である。モバイルを使ったファイナンシャルインクルージョンや、オンライン医療はその典型だ。巨大な雇用を支えている農業の生産性向上に利用されるインターネット技術とIoT機器の導入も各地で見られるようになった。いずれも、地域の活性化、雇用の安定化、機会の向上につながる事例が多い。つまり、課題を解決することで大きなビジネスが生まれるという証左であり、課題解決とビジネス創造の双方が両輪となり、その土地の未来を創造することを示している。

そんな中、この夏にデジタルガレージ社主催のNew Context Conferenceに参加させて頂く機会をいただいた。「Earthshot」というキーワードで全体が構成され、人類の振り子が月へと向かう遠心力から、かけがえのない地球へと向かう求心力へと切り替わり、グレートリセットされるESGの時代というテーマは、まさに未来の方向感を指し示すものであり、錚々たるスピーカーの皆様とともに未来に思いを馳せながら議論させていただいた。

投資が未来へのエネルギーの注入だとしたら、今こそ、将来世代への投資をしなければならない。その投資こそが大きなリターンを産むと信じているし、金銭的なリターンもさることながら、信頼という一番大切な価値を産む投資をしていきたい。

[日経産業新聞2021年9月24日付]

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