三菱ケミカル、再生医療技術「ミューズ細胞」開発中止

三菱ケミカルグループは14日、再生医療に使う「Muse(ミューズ)細胞」の開発を中止すると発表した。最新の臨床開発状況から、事業化し収益に貢献するまでに時間がかかると判断した。低収益事業からの撤退など事業構造の見直しを進めており、今回の開発中止もその一環となる。
ミューズ細胞は再生医療に使う技術で、これまで急性心筋梗塞や脳梗塞など7つの疾患の治療に役立つとみて、臨床試験(治験)を進めてきた。
ミューズ細胞は体のさまざまな臓器にあり、健康な人から採取した間葉系幹細胞から取り出して培養し、凍結保管する。患者に点滴で投与すると、脳梗塞などで損傷した部位に集まり、必要とされる細胞に育って患部の修復に役立つとされる。
2010年に東北大学の出沢真理教授が発見し、三菱ケミカルグループは独占ライセンス契約を結んで、15年から開発を進めてきた。今回の開発中止の決定を受けて、独占ライセンス契約も「解約する方向」(同社)という。
事業化をめぐっては、21年12月の時点で、すでに「10年以内の収益貢献は期待できない」とジョンマーク・ギルソン社長は見通しを示していた。
現在、進行中の治験については「治験終了まで継続する」という。
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