ドラマ『30までにとうるさくて』 29歳女性の葛藤描く
1月13日からABEMAで配信が始まったドラマ『30までにとうるさくて』。30歳を前にして、様々なことで悩み、葛藤する4人の29歳の独身女性をユーモラスかつ痛烈に描くオリジナルストーリー。渋谷を舞台に、彼女たちの結婚、出産、友情、セクシャリティーやキャリアに対する考え、人生観を浮き彫りにしていく。

主演をバンド「ゲスの極み乙女。」のドラマーのさとうほなみが務めるほか、山崎紘菜、佐藤玲、石橋菜津美ら、ドラマや映画で活躍するキャストが集結した。制作は、フジテレビで『恋仲』『グッド・ドクター』など数々のヒットドラマを放ち、現在はフリーのコンテンツプロデューサーとして活動する藤野良太氏。ABEMAでは女子高生が直面する性への興味や関心を描いた『17.3 about a sex』などを制作してきた。今回は『17.3~』と同じ手法で、29歳付近の女性20~30人に直接インタビューをして生の声を拾い、リアルなエピソードをそのままドラマの中に反映している。
企画のきっかけは、ABEMAの社内会議で「今、社内の若い女性社員たちがABEMAのドラマを積極的に見ておらず、YouTubeや他の番組が話題の中心になっている」という話が挙がったことだったという。
「それならば、彼女たちが"見たい"と思えるドラマを企画しようと、調べてみて衝撃だったのが、20代女性のなかでも社会の最前線で働く女性たちが日本のドラマをあまり見ていないこと。これだけコンテンツがあるなかで、さらに日々疲れている彼女たちに時間を投資してABEMAでドラマを視聴してもらうことに相当なハードルを感じました」と藤野氏は語る。
ヒロインたちの年齢は29歳。「かつて『29歳のクリスマス』(94年、山口智子主演作)がありました。あの時代は29歳の女性たちにとって、"結婚しているか、いないか"の葛藤が大きかったが、今の時代は"子どもを産むか、産まないか"が29歳の壁になっている。それによって、結婚やキャリアが大きく左右されてしまうからです。"出産するか、しないか"に戸惑う1人のキャラクターを通して、"女性として今後どう生きていけばいいのか?"という現代的な葛藤を描きました」
舞台を渋谷にしたのも、20代、30代の独身女性の割合が高いのが街の特徴という理由。スタッフ陣に、長年組んできたディレクター、カメラマンに加えて、女性スタッフを多数採用しているのも今回ならではのこだわりだ。
「本作の取材を通して分かったことは、働く女性たちは相当疲れているということでした。男性の意識や会社の制度が整っていないことでものすごいストレスにさらされている。その半面、男性に比べてストレス発散できる場所が少なく、声を上げてもたたかれてしまう。そういった女性たちのストレスや内なる怒りを描いています。このドラマを見た女性の方たちに"これは私の物語だ"と受け取っていただければと思います」

企画・プロデュース 藤野良太/演出 金井紘 出演 さとうほなみ、山崎紘菜、佐藤玲、石橋菜津美
(ライター 前田かおり、小沼理)
[日経エンタテインメント! 2022年2月号の記事を再構成]
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