NTT、遅延200分の1の回線サービス 23年3月に開始

NTTは2023年3月に超低遅延の回線サービスの提供を始める。映像や音を圧縮しない独自の光伝送技術を活用することで従来と比べて遅延時間は200分の1になる。まず遠隔手術や自動運転などでの活用を見込み、企業や団体に専用回線として提供する。
NTTが研究・開発を進めている次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の初の商用サービスとなる。30年度以降に半導体からネットワークまでの伝送を従来の電子から光に置き換える構想で、低遅延のほか100分の1の消費電力や伝送容量125倍を目標にしている。
14日に開いた説明会で島田明社長は「IOWN構想のうち遅延についての目標は達成した。まず日本で活用事例を広げていきたい」と話した。遠隔ロボットを活用した工場やプラントの保守点検のほか、遅延が勝敗に直結するゲーム対戦競技「eスポーツ」などにも活用できるとみる。
NTTは次世代半導体の国産化を目指す新会社「ラピダス」に出資した。巨大な仮想空間「メタバース」の普及など、スマートフォンに次ぐ端末の開発競争が激しくなっている。島田社長は出資の理由について「少量多品種の半導体を国内で安定調達できることへの期待がある。人材も供給していきたい」と説明した。