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料理宅配ドアダッシュ 「真打ち」登場も見えぬ勝ち筋

ドアダッシュが日本に進出。仙台からサービスを始める
日経ビジネス電子版

フードデリバリーで米国シェアトップのドアダッシュが日本に上陸し、6月9日に仙台市でサービスを開始した。ドアダッシュジャパンの山本竜馬代表兼カントリーマネージャーは会見で、「米国のコピー&ペーストではなく、日本に合ったプロダクトをきっちり考えていく」と語った。

ドアダッシュは米国で2013年から料理宅配サービスを始め、カナダやオーストラリアなど海外展開を進めてきた。米ウーバーテクノロジーズの「ウーバーイーツ」など多くの競合がしのぎを削る中、米国では50%のトップシェアを握るという。

20年12月に米市場に株式上場し、足元の時価総額は約470億ドル(約5兆円)に達する。ソフトバンクグループ(SBG)傘下の「ビジョン・ファンド(SVF)」が出資しており、IPOによる増資後の持ち株比率は2割強。上場時の含み益は1兆円近くにのぼり、21年3月期の連結純利益5兆円を後押しする存在となった。

新型コロナウイルス禍で国内の料理宅配市場は急成長している。調査会社のエヌピーディー・ジャパン(東京・港)によると、20年のフードデリバリー市場規模は前年比50%増の6264億円に達した。

一方で競争は激しい。出前館とウーバーイーツの「2強」を筆頭に、フィンランドの「Wolt(ウォルト)」、中国配車アプリ大手の滴滴出行(ディディ)が運営する「DiDiフード」など海外から次々に参入。「今は戦国時代。陣取り合戦は1~2年は続く」と出前館の藤井英雄社長CEO(最高経営責任者)は見る。顧客獲得に向けてクーポンを乱発する消耗戦を各社が繰り広げる中、後発のドアダッシュに勝ち目はあるのだろうか。

競争軸は「脱フード」に

ドアダッシュの特色は、「ストアフロント」という独自プロダクト。自前のウェブサイトやアプリを持つ飲食店が、手軽にデリバリーの予約機能を組み込める。出前館やウーバーイーツに集客を頼ることなく、お店がそれぞれ抱える既存客に対して宅配サービスを追加できるのが売りだ。

会見を開いたドアダッシュジャパンの山本竜馬代表兼カントリーマネージャー

ただし課題は山積みだ。料理宅配では展開エリアが勝負の分かれ目になる。店舗や利用者、そして配達員を囲い込む必要がある。そのためにはいち早く進出するのが望ましいが、ドアダッシュは「周回遅れ」での日本進出となる。巻き返すのは簡単ではない。

進出先として仙台を中心とした宮城県を選んだ理由を山本氏は「都会と郊外の顔を持つ」と語った。100万人の人口を抱える仙台市で都会型の市場を研究しつつ、同時に郊外での可能性も探る。一挙両得のようにも見えるが、裏を返せば展開エリアの規模が定まっていないとも言える。古参は大都市を中心に進出する傾向が強いが、Woltは人口20万人規模の中都市に積極的に進出していく方針を示している。

デリバリー各社が次の成長分野と見るのが、料理以外の宅配サービスだ。ローソンは19年にウーバーイーツを導入。その後、Woltや「フードパンダ」とも組み、デリバリー対応の店舗を今期中に3000店舗まで拡大する方針を掲げる。ドラッグストア併設の一部店舗からは、薬の配達も可能にした。

料理宅配はランチタイムや夕食時など、ピークが重なりがち。配達員の業務を平滑化し、食事以外でも必要なモノをすぐに届けるサービスとして、各社は飲食店以外の加盟店開拓を急いでいる。

最大の課題はSBG内の競争かもしれない。SVFはウーバーやDiDiにも出資しており、出前館はLINEの実質子会社だ。つまり、フードデリバリー業界でしのぎを削る大手の多くに、SBG系列の資本が入っている。陣地を押さえて取扱品目でも存在感を示せるか。周回遅れの日本進出となったドアダッシュに、残された時間は多くない。

(日経ビジネス 白壁達久)

[日経ビジネス電子版2021年6月11日の記事を再構成]

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