セミコンジャパン開幕 「日米欧でデータ社会の主導権」

半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン」が14日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した。次世代半導体の国内生産を目指す新会社「ラピダス」の小池淳義社長は基調討論で、「技術革新には国際的な協業が重要」と述べた。半導体戦略推進議員連盟の会長を務める甘利明衆院議員は「日米欧でデータ駆動型社会の主導権をとる」と述べた。
ラピダスは回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の次世代半導体の製造技術の確立に向け、米IBMから技術ライセンスを得る。最新の製造技術を持つベルギーの研究機関imec(アイメック)とも協力する。小池社長は「IBMからの技術供与がなければ、(日本と世界との技術的な)差を埋めることはできない」と明かした。
ラピダスの東哲郎会長は「米国も台湾も韓国も、次世代の『ビヨンド2ナノ』の開発でしのぎを削っている」と技術開発競争について言及した。「社会や産業の未来のビジョンを持って技術開発を進めることが重要」と述べた。

甘利氏は「なぜ今、先端半導体に取り組むのか。台湾海峡が封鎖されたら最先端のロジック半導体の供給が7~8割止まる」と指摘。「中国とは連携できない。企業・政府レベルで価値観を共有できる日米欧で連携していくことが重要」と強調した。
IBMシニアバイスプレジデントのダリオ・ギル氏は「テクノロジーが最高レベルの地政学的な課題となっている」との認識を示した。
理化学研究所の五神真理事長は「複雑になる半導体のシステム設計とビジネス戦略を担う人材(の育成)が急務となる」と話す。その上で「子どもたちが半導体産業に夢を感じられるようにする必要がある」と述べた。
午後の講演に登壇したNTTの澤田純会長は、高性能な半導体を少量多品種で調達する必要があるとの考えを示した。同社が出資したラピダスは海外大手ファウンドリーを規模で追わない方針を示しており、「スケールメリット(規模の経済)でなくスコープメリット(範囲の経済)を取る時代になる」とラピダスの経営指針を支持した。
またラピダスとの提携で合意したベルギー研究機関のimec(アイメック)からはエグゼクティブバイスプレジデントのジョー・デ・ボエック氏が登壇。「私たちの協力関係を発展させるための非常に素晴らしい第一歩」と述べた。
パソコンやスマホの半導体や、電気自動車(EV)に使われるパワー半導体とは。TSMCや東芝、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。
半導体が分かる ビジュアル解説
関連企業・業界