LIXIL、新基幹系でGoogle Cloud採用
グーグル日本法人とLIXILは13日に記者説明会を開催し、LIXILが統合基幹業務システム(ERP)である「SAP S/4HANA(エスフォーハナ)」の稼働インフラとしてGoogle Cloud(グーグルクラウド)を採用したと発表した。LIXILは2020年末にSAP S/4HANAの稼働を開始し、既に3システムの利用を始めているという。
LIXILは11年に当時のトステムやINAXなど5社が経営統合して誕生し、その後も独グローエや米アメリカンスタンダードなどを買収している。経営統合前の各社の勘定系システムがバラバラに稼働し続け、メインフレームだけで3ベンダーのものが残っていることが課題となっていた。
LIXILは古い勘定系システムをSAP S/4HANAに統合するプロジェクトを14年から進めており、IT(情報技術)インフラの移行先がGoogle Cloudになった。
記者会見に登壇したLIXIL Digital部門の岩﨑磨常務役員は「ITインフラについては従来、(自社で運用する)プライベートクラウドを使う方針だった。しかしプライベートクラウドはリソースの急増など変化に対応するのは難しい。そこでリソースの増強がしやすい(外部の事業者のサービスを利用する)パブリッククラウドを選択した」と説明する。
SAP S/4HANAの受け皿を巡っては米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフトも積極的な姿勢を見せている。
「ディザスターリカバリー(災害復旧、DR)システムを構築するためのネットワーク設計の自由度が高い点や、(インメモリーデータベースを使うSAP S/4HANAの運用に欠かせない)メモリー容量の大きいインスタンスが充実していた点などでGoogle Cloudを評価した」(岩﨑常務役員)という。
LIXILは以前からGoogle Cloudのデータウエアハウス(データの倉庫、DWH)である「BigQuery(ビッグクエリー)」を使用しており、「ERPをクラウドでただ動かすだけでなく、そのデータをBigQueryで積極的に活用していく」(同)との方針も示している。
(日経クロステック/日経コンピュータ 中田敦)
[日経クロステック 2021年5月13日掲載]
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