若いマウスの髄液で記憶改善 米スタンフォード大など
米スタンフォード大学などの研究チームは、若いマウスの髄液を高齢マウスの脳に投与すると、記憶の機能が改善することを発見した。改善に関わっているとみられる髄液中のたんぱく質も特定した。研究がさらに進めば、このたんぱく質を認知症などの治療に応用できる可能性がある。
髄液は脳や脊髄を覆う液体で、脳の水分量を調節したり形を保ったりする役割があるとされる。研究チームは生後約1年半の高齢マウス約20匹を用いて、次のような実験をした。
まず点滅する光と音でマウスを刺激しながら電気ショックを与え、光や音と恐怖の記憶とが結びつくようにした。その後、約半数のマウスの脳に生後10週の若い個体から採った髄液を投与した。
3週間後、今度は光と音のみを与えた。すると若いマウスの髄液を投与した高齢マウスは約40%の確率で動きが止まった。電気ショックのことを思い出し恐怖したと考えられる。一方、もう半分のマウスは18%の確率でしか動きが止まらなかった。
チームはさらに分析を進め、若いマウスの髄液に多く含まれる「FGF17」というたんぱく質が記憶改善に重要な役割を担うことを突き止めた。研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。