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スタ★アトピッチ東京ルポ 創薬や物流で市場を開拓

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

スタートアップや家業の高度化を目指す「アトツギ」が事業モデルを競い合う第4回「スタ★アトピッチJapan」の東京ブロック大会が11月25日、都内で開かれた。全国各地で開催したブロック大会の最後として、35社の起業家らが登壇した。がん治療装置や創薬、物流を効率化するロボットなどで先端技術を事業にした企業のプレゼンテーションが目立った。

スタ★アトピッチは日本経済新聞社が主催し、毎年開催している。東京大会は2つのブロックに分けて開催した。

新技術で医療に貢献

医療スタートアップのグレイスグループ(東京・渋谷)は卵子凍結保管サービス「Grace Bank(グレイスバンク)」を発表した。11月時点で、全国の生殖医療を手掛ける医療機関27院と連携し、卵子の凍結保管費用をサブスクリプション(定額課金)型で支払う。福利厚生の一環としてメルカリやサイバーエージェントなどが、卵子凍結保管の費用を補助する制度を導入している。

医療装置開発スタートアップのビードットメディカル(東京・江戸川)は超小型の陽子線がん治療装置を開発する。陽子線は放射線の一種でX線より特定の位置にエネルギーを集めやすく、副作用を抑えた治療が可能として注目を集める。

従来の治療装置は高さ12メートル程度と大きく、設置スペースや費用の高さが課題だった。ビードットメディカルは4メートルに小型化し、価格も2分の1程度に抑えた。古川卓司代表は「日本は2人に1人ががんになる時代だ。私が発症した際に当社の製品で治療できる環境を整えたい」と語った。

創薬スタートアップのヒューマンライフコード(東京・中央)はへその緒由来の間葉系幹細胞を活用した医薬品を開発する。同細胞は炎症を抑える物質を放出する性質があり、造血幹細胞移植後の肺合併症や加齢に伴って筋肉量が減る「サルコペニア」など複数の疾患を対象とする。足元では臨床治験(治験)を開始した製品もある。

物流の人手不足を解決

人手不足が懸念される物流領域の課題解決に取り組む企業もみられた。早稲田大学発の東京ロボティクス(東京・文京)は段ボールの箱を台車やパレットに積み上げる「パレタイズ」と呼ばれる作業などを代替するロボットを開発した。「力制御」と呼ばれる技術で、多数の関節が人のように柔らかな動きを再現できる。倉庫などのピッキング業務を自動化するロボットの開発にも着手している。

RFルーカス(東京・渋谷)は無線自動識別(RFID)機能を持つICタグを使った在庫管理システムを提供する。従来のRFIDでは難しいとされていた位置情報を取得する独自技術を開発した。読み取り機械で読み込むだけでどの製品がどの位置で保管されているか把握でき、在庫管理業務を効率化できる。

20秒で3Dアバター

VRC(東京都八王子市)は自身と同じ体形や外見をもった3次元(3D)アバター(分身)を製作する事業を手掛ける。体を撮影する装置を開発し、20秒以内にアバターを生成でき、仮想空間(メタバース)上に投影できる。

体形や採寸、見た目といった情報を保管するプラットフォームを構築し、ゲームやアパレル分野でビジネスに活用できる体制を整えた。謝英弟社長は「駅や商業施設などにある証明写真装置と同様に街中に装置を展開し普及していく」と強調した。

自社の技術を他の業界に展開する企業も登壇した。自動車部品設計製造のタマチ工業(東京・品川)は災害用のガスエンジン発電機を開発した。液化石油ガス(LPG)30キログラムのボンベ2本で72時間以上発電できる。従来のディーゼル発電機に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を2割削減する効果があるという。

モータースポーツ向けに部品製造していたが、新型コロナウイルス禍を機に相次いでレースが中止となった。需要が低迷するなか、培った技術力を生かし防災分野に参入した。介護施設が導入しており、大型機器の生産も始めた。

元警察官が設立したヴァンガードスミス(東京・港)はトラブル解決を支援する事業を手掛ける。隣人やSNS(交流サイト)でのトラブルなど警察や弁護士では対応が難しい事件未満の問題に対し、元警察官が相談に応じて解決に導く。サービスは定額課金型で、何度でも元警察官に相談できる。会員数は11月時点で65万世帯を超えた。

スタ★アトピッチは2023年1月上旬に各ブロック大会から決勝大会に進出する企業を決め、2月23日に都内で決勝大会を開く。

プレゼンレベルに差 審査員に聞く



只石昌幸氏(レバレッジCEO)
社会課題の解決など自分たちでは難しい課題に取り組む姿を見られた。どの発表者も情熱を感じた一方で、プレゼンテーションのレベルに差があった。限られた時間だが、市場規模や競合優位性、独自性といったマーケティングの要素を盛り込んで発表するとより魅力が伝わると思う。

山本正喜氏(ChatworkCEO)
発展性のあるビジネスを手掛ける企業が多く、レベルの高さを感じた。市場規模が大きく、難易度の高い分野に挑戦する企業もいたほか、類を見ない独自サービスで新市場を築く企業もいた。魅力を感じる瞬間が多かった。

(松浦稜)

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