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無印良品、新疆綿の取引継続 社長は質問に答えず

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北京市の「無印良品」で販売されている新疆綿のシャツ=共同

生活雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は14日、中国・新疆ウイグル自治区の人権侵害を巡る問題で、プレスリリースで「新疆綿」を使った衣料品の販売を続けることを公表した。人権問題を重視する消費者や機関投資家の目が厳しさを増しているが、同日の決算会見で松崎暁社長は度重なる質問には答えず、具体的な言及を避けた。

同日、オンラインで開いた決算記者会見で、財務担当の杉山孝太執行役員は「国際機関が発行するガイダンスにのっとり独立した監査機関に調査を依頼し、サプライチェーンに重大な問題点はなかった」とリリースを読み上げる形で販売継続は妥当であることを強調した。

そのうえで「生産者が明確に特定できる綿花しか使っていないが、万が一法令や社内規則に違反した場合、取引を停止する」とした。

ただ、市場は良品計画の対応を懸念している。3月25日に中国でウイグル産綿花の取引継続を表明したことを受けて、株価は翌日、一時前日比7%安の2494円まで売られた。人権問題に関する対応について、松崎社長は質問には一切答えず、プレスリリースでの回答に終始したことでさらに市場は懸念を強める恐れがある。

ファーストリテイリングも柳井正会長兼社長が4月8日の決算記者会見で、ウイグル問題に関しては何度もノーコメントを強調。市場はこの発言に懸念を示し、2020年9月~21年2月期の連結業績が好調だったにもかかわらず、9日の終値は前日比3.3%安の8万7890円だった。

機関投資家からの圧力は強まる一方、ウイグル問題への発言が中国の世論の反発を強める恐れがあり、各社は対応に苦慮している。スウェーデンの衣料品大手へネス・アンド・マウリッツ(H&M)は3月下旬に大手通販サイトで商品が検索できなくなった。20年9月にウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引停止を公表したことが影響したようだ。米ナイキや独アディダスなどもネット上で非難を浴びる。

カゴメは新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品を製品に使うのを21年中にやめるが、中国本土での売上高はグループ全体の0・4%にすぎない。

良品計画にとって中国は成長の柱で売上高の2割を占める。21年8月期の営業利益は中国を中心に東アジアで前期比55%増の266億円と、好調な国内事業とほぼ同じ利益水準を見込む。ファストリも売上高で台湾と香港を含む中華圏の割合は2割強を占める。対応を誤ると成長戦略に影響を及ぼす恐れもあり、板挟みとなっている。

ロイター通信によると、中国の綿花生産量のうち8割以上がウイグル産。中国で事業を進める企業にとって代替調達先を探すのは容易ではないことも判断を難しくしている。

良品計画が14日発表した20年9月~21年2月期の連結決算は、売上高にあたる営業収益が前年同期比3%増の2283億円、純利益が2倍の203億円と大きく伸びた。「ウイグル問題が深刻化すれば、不買運動などにつながりかねず業績への影響も出てくる」(海外証券アナリスト)との声も上がり、難しいかじ取りを迫られている。

(加藤彰介)

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