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巨大テックは美容業界にも GoogleやAmazonの稼ぎ方

CBINSIGHTS
米テクノロジー大手のアマゾン・ドット・コムやグーグルなどが美容業界での存在感を増してきている。ライブストリーミングサービスや音声アシスタントを活用し、美容ブランドと消費者が接点を持つ機会が広がり、消費者にとっては購入の利便性が高まっている。テック大手が自社のテクノロジーを駆使しながら、美容業界で収益拡大をめざす動きは今後さらに進んでいきそうだ。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

テクノロジーは美容業界でますます大きな役割を担うようになっている。

テック各社の事業はデータ検索、スマートホーム機器、人工知能(AI)機能、電子商取引(EC)など広範囲に及ぶため、美容市場で収益を得る魅力的な機会がもたらされている。

・米アマゾン・ドット・コムは法人向けにサロン製品や機器を販売する美容資材に特化したショップを運営している。自社のテクノロジーを紹介するために実店舗の美容室もオープンした。

・米グーグルは各ブランドと提携し、検索データを活用して美容製品の買い物客の好みをもっとよく理解しようとしている。

・米フェイスブック傘下の画像共有アプリ「インスタグラム」や中国のEC最大手アリババ集団のプラットフォームでは、ライブ配信の美容ショッピングの人気が高まりつつある。

今回のリポートでは、巨大テックと美容がぶつかる分野について取り上げる。

巨大テック、美容製品のネット販売チャネルを提供

アマゾンは美容製品の販売チャネルの拡充に大きく踏み出している。2019年にプライベートブランド(PB)のスキンケアシリーズ「ベレイ(Belei)」を発売し、最近ではインドのD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)美容ブランド、マイグラム(MyGlamm)に出資した。

アマゾンは従来のECサイトに加え、生鮮食品などを配送する「アマゾンフレッシュ」や傘下の米食品スーパー、ホールフーズ・マーケットの生鮮食品のネット通販でも美容製品を扱っている。この2つの販売チャネルは新型コロナウイルス禍で大きく伸びており、アマゾンに消費者の通常の食品の注文にあわせて美容製品も販売する機会をもたらしている。

一方、フェイスブック傘下のインスタグラムは美容業界の強力な販売勢力になっている。

インスタグラムはあらゆる消費者向けカテゴリーでデジタル発ブランドを生む大きな役割を果たしており、特に美容業界と相性が良い。美容業界はもともとビジュアル重視で、口コミを頼りにしており、参入障壁も比較的低いからだ。

インスタグラムは19年、投稿画像の商品の購入をアプリ内で決済できる機能を導入した。その後も拡張現実(AR)ショッピングや新製品の販売の通知、投稿動画の商品を買える機能を投入し、ブランドやインフルエンサーが宣伝する美容製品のECとしての役割を拡大している。

テック大手のライブコマース、美容インフルエンサーの利用拡大

美容製品を売るために動画を活用しているのはインスタグラムだけではない。ライブ動画で商品を販売するライブコマースは、若いユーザーを獲得し、売り上げを伸ばす新たな手段を提供している。これは既にアジアで人気だが、米国などにも浸透し始めている。

アリババには高級美容ブランドを自社ECに取り込むために導入したライブ配信やAR機能がある。

アジアの美容ライブコマースの大半はKOL(キー・オピニオン・リーダー)と呼ばれる著名インフルエンサーが手がけている。「口紅王子」こと李佳琦氏のライブコマースの視聴者は月数百万人に上る。さらに高度な手段も登場し始めている。韓国の初期段階のスタートアップ、ザムフェース(Zamface)は視聴者と顔の特徴が似たライブコマース出演者を見つけてくれるプラットフォームを運営する。

音声アシスタント、美容をスマートホームに

アマゾンの「アレクサ」や米アップルの「シリ」などの音声アシスタントは、巨大テックと美容が手を組む機会を提供している。

アマゾン、アップル、グーグルはいずれもスマートスピーカーを手がけており、音声アシスタントを家庭生活に浸透させようとしている。一方、美容各社は消費者が自社ブランドを真っ先に思い浮かべてくれるよう、音声ショッピングの習得に目を向けている。

例えば、仏化粧品ショップ「セフォラ」はグーグルと提携し、独自アプリを提供する。アプリのユーザーは音声アシスタント「グーグルアシスタント」で商品を注文したり、スキンケアのアドバイスを受けたり、セフォラのユーチューブ動画を見ることができる。

スマートホームという概念は引き続き盛り上がりを見せている。美容ブランドは個人に応じたオススメから便利な予約サービスまで、買い物客が不便に感じている点を解決するため、音声テクノロジーの活用方法や巨大テックとの提携について考慮しなくてはならなくなるだろう。

美容はこれまで巨大テックの重点分野ではなかったが、巨大テックがこの分野で影響力を拡大し続けるのは必至だ。

美容業界ではテックの導入がさらに進むため、巨大テックが自社のデータやプラットフォーム、機器から収益を得るチャンスはますます増えるだろう。もっとも、提携も増えるが、テックに詳しくなる既存勢と直接競合するようにもなるだろう。

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