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お届けは「最短15分」に 激化するEC宅配の時短競争

Zホールディングスは、出前館のデリバリー網を活用して日用品を最短15分で届ける実験を始める
日経ビジネス電子版

日用品や食料品を注文から最短15分でお届けします――。ヤフーやLINEを抱えるZホールディングス(ZHD)は7月末に、都内の一部地域でこんな実証実験を始める。

ZHDが活用するのは、グループ内でフードデリバリーを手掛ける出前館だ。傘下のアスクルが販売する日用品や食料品のうち、売れ筋の約300品目を地域の専用倉庫に保管。注文が入れば出前館の配達員が倉庫に取りに行き、自転車などで届ける仕組みだ。アプリでの注文から最短15分で商品が手元に届くという。ZHDの川辺健太郎社長は「小型商品ですぐに欲しいものは、出前館のデリバリー網と相性がいい。(消費者が)様々な配送方法を選べるようにして、顧客の利便性向上につなげたい」と期待を寄せる。

ネット通販の最大の弱点は、配達までの「タイムラグ」だ。店頭在庫を抱えるリアル店舗と異なり、購入後すぐには商品を使えない。この課題を克服するため、EC事業者は宅配事業者と組んだり自社物流網を整備したりして「時短」に挑んできた。新型コロナ禍で巣ごもり消費が一般化する中、その競争が激しさを増している。

ヤマダデンキやローソンもデリバリー強化

存在感を示すのは家電量販店だ。ヤマダホールディングス(HD)傘下のヤマダデンキは「ヤマダ高速便 プレミアム配送」というサービスを今年6月に福島県の一部地域で開始した。ECサイトで注文した商品を最短90分以内に届ける。ヨドバシカメラは東京都23区全域などの都市部や、一部の政令指定都市で最短2時間半以内で届ける「ヨドバシエクストリーム」を展開する。プリンターのインクなどオフィス向けの商品や文房具といった消耗品需要を取り込みつつある。

短時間配送を実現するには、倉庫など配送拠点を複数整備した上で、多くの配達員を抱える必要がある。独自の配送網を構築してきた家電量販店にとっては追い風だ。一方で、小売り各社にとってはハードルが高い。そこで着目したのが、ここ数年で急成長しているフードデリバリーサービス網の活用だ。

料理宅配では昼食や夕食の時間帯に注文が集中しがちだ。食事以外の配送を手掛ければ空き時間を埋められるとみて、ZHDは出前館のドライバーを活用する。ローソンはウーバーテクノロジーズの「ウーバーイーツ」などと提携し、年度内に国内3000店舗でデリバリー対応を可能とする方針を掲げる。フィンランド発の「Wolt(ウォルト)」もドラッグストアを展開するツルハホールディングスが提携し、北海道で5月から商品配達サービスを始めた。

米アマゾン・ドット・コムは有料会員向けに、「ライフ」「バロー」など食品スーパーと組んで生鮮品や日用品を最短2時間で届けるサービスや、生鮮食品などを当日配送する「アマゾンフレッシュ」を展開する。「生鮮食品と日用品をまとめて最短当日に届けるアマゾンプライム会員向けのサービスは今後もさらに拡充していく」(アマゾン広報)。

一方でアマゾンは、分刻みの過度な時短競争からは少し距離を置き始めた。今年3月、15年に開始した日用品や食料品を2時間以内に配送する「プライムナウ」サービスを終了した。当初はドラッグストアや百貨店など複数の企業や店舗が参加したが、サービスの展開エリアの縮小などもあり撤退が相次いだ。

ビックカメラも戦略を見直している。同社は20年6月から3カ月間、デリバリーサービスの「エニキャリ」と提携して最短45分で商品を届けるサービスの実証実験をした。だが、実験終了後に本サービスには移行しなかった。

競争の行方を左右するのは配送コストの見極めだ。

日用品は比較的単価が低く、サービスを無償提供するとEC事業者にとっては赤字になりかねない。だからといって、ネットスーパーのように送料が無料となる最低購入価格ラインを設定すると、日常的な利用は減少してしまう。送料をいくら上乗せすれば、最短15分配送サービスを顧客が利用してくれるのか。ZHDの取り組み次第では、即配の時短競争もまた、フードデリバリー同様に勝者なき消耗戦に突入する危険性がある。

(日経ビジネス 白壁達久)

[日経ビジネス電子版2021年7月12日の記事を再構成]

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