半導体装置の世界販売、21年44%増 過去最高に

半導体の国際団体SEMIは13日、2021年の製造装置の世界売上高が20年比44%増の1026億ドル(約12兆9000億円)になったと発表した。材料の販売額も同16%増で、いずれも過去最高を更新した。半導体市場の活況が製造装置や素材といったサプライチェーン(供給網)に波及している。
製造装置の市場は、中国が58%増の296億ドルで最も大きかった。米国の対中制裁で先端投資に必要な装置の調達には制限がかかっているが、電力制御を担うパワー半導体をはじめ、成熟分野の製造技術に関連した投資が活発になっている。
主要市場では韓国、台湾の市場がそれぞれ249億ドル強で続いた。先端の半導体製造で先行するサムスン電子や、台湾積体電路製造(TSMC)が投資額を引き上げた。チップを積み重ねる「3次元化」技術の進展で、製造後半の工程を担う拠点でも投資が拡大した。組み立て・パッケージに使う装置の販売額は87%増と急伸した。

世界半導体市場統計(WSTS)によれば21年の半導体市場は26%増の5558億ドルだった。半導体各社は高まる需要に対して供給が追いつかず、生産能力の増強を急いでいる。データセンター投資や電動車の普及など中期的な需要の押し上げ要因もあり、「生産能力の拡大は需給の不均衡の解消にとどまらない」(SEMIのアジット・マノチャ最高経営責任者)
半導体各社の能力増強や新工場立ち上げに向け、半導体装置の需要が押し上げられた。製造に使う材料需要も大きく伸びている。21年の販売額は642億ドルで、16%増という成長率は過去5年でも最大だった。
日本の装置・素材各社は供給能力の引き上げを急ぐ。洗浄装置などを手掛けるSCREENホールディングスは、約100億円を投じて製造新棟を建設する。新光電気工業は26年3月期までに1400億円を投じ半導体パッケージの製造能力を5割引き上げる。基板のシリコンウエハーを製造するSUMCOは、佐賀県と台湾で新工場の建設を決めている。
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