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抗体カクテル、体制見直し急務 首相「在宅可能」指示 

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抗体カクテル療法で使用する2種類の抗体

新型コロナウイルスの軽症者らの重症化を防ぐ「抗体カクテル療法」を早期に投与する体制づくりが急務となっている。菅義偉首相は15日、在宅での使用を認めるよう厚生労働省に指示したと述べた。しかし、冬場の感染「第6波」を見据えて医療の逼迫を回避するには、臨時医療施設に軽症者らを集めて投与するなど、より効率的な手法の拡大が欠かせない。

首相は15日、自宅療養者の訪問医療を手掛けるファストドクター(東京・新宿)の視察後、記者団に在宅使用の開始時期について「そんなに時間はかからない」と述べた。田村憲久厚労相も同日の衆院厚労委員会で「早急に検討して方向性を示す」と話した。

軽症から中等症患者の治療に使うカクテル療法は中外製薬が製造販売元の点滴薬「ロナプリーブ」で、重症化リスクの高い50歳以上や基礎疾患のある人が投与対象。重症化や死亡のリスクを7割下げるとされる。東京都によれば投与から14日以上たった420例の95%で症状が改善した。

カクテル療法で重症化を抑えれば病床逼迫を防げる。そのためには発症後、早期の投与が必要だ。発症から8日目以降に投与した場合は有効性を裏付けるデータがなく、7日以内の投与が求められている。

7月に厚労省が承認した当初は入院での使用に限っていた。8月以降の感染者急増で保健所の入院調整が滞ると7日以内の条件を満たせず、投与できないケースが相次いだ。埼玉県の男性医師は「重症化を防げた患者が多くいた」と悔やむ。

在宅使用を認めれば、こうしたケースは避けられる。ただ在宅使用では点滴終了後も1時間程度は副作用が出ないか経過観察が必要だ。往診する医師や看護師など人手の確保が前提で、地元の医師会や看護協会などとの連携がカギになる。

医療人材不足も深刻な中、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は「医療従事者の余裕がない状況では、臨時医療施設を設置して効率的にやることも考えられる」と述べた。

厚労省も現場の声に押され、8月中旬以降、一部の宿泊療養施設や臨時医療施設、外来へと段階的に範囲を広げてきた。大阪府では8月下旬からは宿泊療養施設で開始。点滴を受けた後、約1時間の経過観察を経て体調に異変がなければ自室に戻って療養を続ける。こうした取り組みを広げていく必要がある。

東京都医師会は14日の記者会見で、病院外来や臨時医療施設、在宅などで多くの患者が使える体制づくりを提言。尾崎治夫会長は「できれば(陽性)診断がついた段階で(投与)できるよう考えてほしい」と訴えた。

カクテル療法のような重症化を防ぐ治療薬は選択肢も広がりそうだ。

軽症・中等症向けには英グラクソ・スミスクライン(GSK)の点滴薬「ソトロビマブ」も月内に承認される見通し。カクテル療法と同様に重症化リスクがある患者に点滴で投与する想定だ。

約1000人が参加した海外での臨床試験(治験)では重症化リスクが高い患者の入院や死亡のリスクを79%低減させる効果があった。

重症化リスクを持たない感染者にも広く使える飲み薬の新薬も治験が進んでいる。米メルクや中外、塩野義製薬が国内で実用化するために開発している。自宅療養でも服用しやすい飲み薬が実用化されれば入院者数を減らし、医療現場の負荷軽減につながる可能性がある。

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