米スパコン首位維持、「富岳」2位 中国も多額投資
スーパーコンピューターの計算速度を競う世界ランキングで、米国の「フロンティア」が前回の5月に続き首位だった。理化学研究所と富士通が開発した「富岳(ふがく)」は2位を維持した。米中を筆頭に各国は多額の資金を投入して開発を進めており、国内勢の技術力低下は経済安全保障上のリスクにもなりかねない。

専門家の国際会議が14日、スパコンのランキングを公表した。ランキングは半年ごとに更新する。米オークリッジ国立研究所が運営するフロンティアが1秒間に110京回(京は1兆の1万倍)を超す計算性能を示して2期連続の1位だった。前回のランキングで4期連続の首位から後退した富岳(計算性能は44.2京回)は2位を維持した。上位3位の顔ぶれは変わらなかった。
米国はこれまで、100京回の計算ができる「エクサ級」と呼ばれるスパコンを複数開発する計画を進めてきた。中国も過去に世界一だった「天河2号」と「神威太湖之光」の後継機を開発し、すでに富岳を上回る性能を実現したとされる。欧州もエクサ級のスパコンを含め、巨費を投じて高性能コンピューターの整備を進める。

スパコンは膨大なデータを扱う人工知能(AI)の開発などで重要性が高い。グーグルやマイクロソフトなど米テック企業は、自前のスパコンを構築してビジネスに活用する。次世代の高速計算機である量子コンピューターの実用化には一定の時間がかかるとみられるなか、民間企業を含めた導入競争が加速している。
日本も富岳の後継機開発に着手している。スパコンの研究開発に大量の資金や人材を投入する海外勢と比べて不利な状況にあるものの、足元では経済安全保障などの観点から半導体やスパコンの技術を自国で保有する重要性も高まっている。米中がリードするなか、日本がどこまで競争力を維持できるかが焦点となる。
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