JALやKDDI、ドローンで医薬品配送 都内で実験

日本航空(JAL)やKDDIなどは16日、都内でドローンで医薬品を運ぶ実証実験を報道陣に公開した。医薬品卸メディセオの物流拠点から隅田川上空を約2キロ飛行し聖路加国際病院付近に約10分で運んだ。災害などの緊急時でも、空から迅速に薬を届けられる物流網の構築をめざす。
東京都の公募事業に採択され、ドローン用ソフト開発のテラドローン(東京・渋谷)なども参加した。操縦者が機体を目視せず有人地域で飛ばす「レベル4」の2022年度解禁を見据えた実験。JALやメディセオは21年に兵庫県洲本市でも実施している。JALとKDDIは23年度にドローン物流の事業化を目指しており、医薬品配送のビジネスモデルを検討する。

実験では自律飛行型ドローンを使った。1機あたり最大2.75キログラムを載せられ、荷物なしで最大35分飛べるという。
メディセオ新東京ビル(東京・江東)で長さ9センチ、重さ10グラムの液体の模擬医薬品5個をドローンに搭載。高さ約80メートルまで浮上し、隅田川上空を3つの橋を横断しながら2キロ先の聖路加国際病院近辺まで移動した。飛行中はJALのスタッフが遠隔で移動状況を監視。聖路加国際病院の近くに到着後、同病院の薬剤師が受け取り中身を確認した。
実験の結果、ドローン1機で1日あたり10回の配送を見込めたという。今後、国のガイドラインに基づき、配送中の薬の温度変化や固定状況を検証する。発注から納品までの時間やプロセスも分析し、病院や薬局が希望する時間と場所に届ける「オンデマンド配送」の実現性も確かめる。

ドローンを使えば、震災時などの有事でも、車に代わり迅速に薬を届けられる。平時でも、緊急性の高い希少疾患の薬の輸送などに使えるほか、医薬品卸にとっては輸送にかかる人件費を削減することにつながる可能性もある。
気象条件によっては利用できないほか、複数のドローンで運んだ際に衝突を回避する仕組み作りなどが課題になる。
JALのデジタルイノベーション本部エアモビリティ創造部の田中秀治マネジャーは「今回の実証実験で得られた示唆をふまえ、ドローンが社会を支えるインフラとして機能できるよう貢献したい」と話した。聖路加国際病院の後藤一美・薬剤部長は「災害時や平時において、重要な医薬品を安全に供給できることに非常に期待がもてる」と指摘した。
ドローンによる医薬品配送では、ヤマト運輸やアルフレッサホールディングス傘下の医薬品卸会社が21年12月に岡山県和気町で、オンライン診療で処方された薬を中山間部の患者宅に届ける実証実験をしている。