製造業8割が満額回答、日立やパナHD 持続・波及カギ
春季労使交渉
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2023年の春季労使交渉は15日に集中回答日を迎えた。日立製作所やパナソニックホールディングスなどが労働組合の賃上げ要求に相次ぎ満額回答した。製造業の主要企業の満額回答は全体の86%に達した。物価上昇に配慮し、高水準の賃上げの回答が相次いだ。経済の好循環に向けて、賃上げを中小企業や非正規の働き手に波及できるか、24年以降も持続できるかが問われる。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。