局地的な降水を高精度に予測 東大がAI活用
東京大学の芳村圭教授と吉兼隆生特任准教授らは、山岳部などの局地的な降水を代表的な人工知能(AI)の技術である機械学習で予測する手法を開発した。従来の数値予報モデルでは困難だった複雑な地形に対応した推定が可能になる。水害リスクの低減や水資源量の推定への活用を見込む。

山岳部では地形が降水に強く影響し、地域ごとに降水量や降水頻度の分布が大きく変わる。近年のスーパーコンピューターの進化や数値予報モデルの発展で気象予測の精度は上がっているものの、局地気象の再現は難しかった。精度向上には数値予報モデルの高解像度化が不可欠だが、そのためには膨大な計算機資源が必要だった。
研究グループは降水量などを予測したい場所の局地的な気象と、周辺の広域の気象との関係性を機械学習を用いて学習させた。学習したパターンを用いて降水量を推定した結果、数値予報モデルによるシミュレーションと比べて少ない計算コストで誤差を50~70%低減できた。
新手法は河川の流量や水位、土壌水分量の予測などに必要な地域ごとの詳しい降水予測の精度を高められる。研究グループは水害リスクの予測に役立つとみており、自治体などへの情報提供に活用していく方針だ。