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汗かきは蚊にモテモテ 血を吸うメスには注意

親子スクール

公園で遊んでいたら、蚊に何カ所も刺されて、かゆくなっちゃった。寝ている間に周りをプーンと飛んでくるのも、わざわざ刺す人を探してきているようで嫌だよね。でも蚊はどうして人の血を吸うんだろう?

実は血を吸うのはメスの蚊だけで、オスは吸わないんだよ。メスもオスもふだんは花のみつや木の樹液、果物の汁などの甘い糖分を食べて生活している。メスはオスと交尾した後、卵を産むのに必要なたんぱく質などの栄養を取るために吸血するんだ。人につぶされる危険があるのに血を吸いにくるのは子孫を残すためなんだね。

ほとんどの蚊は血を吸わないと産卵できない。日本でよく見かける蚊には、ヤブ蚊とも呼ばれるヒトスジシマカやアカイエカ、チカイエカなどがいる。チカイエカだけは血を吸わなくても1回目の産卵ができる。でも、ヒトスジシマカやアカイエカの産卵、チカイエカも2回目の産卵には吸血が必要だよ。

ヒトスジシマカは北海道以外の全国にいて、公園や庭、墓場などに多くすんでいる。昼間に活動する昼行性なので、刺したのはたぶんヒトスジシマカだろうね。アカイエカは沖縄以外の全国にいて、夜に活動する夜行性だよ。寝ているとき、プーンと刺しにくる蚊だね。チカイエカは地下鉄やビルの地下にすむ変わり者だ。

蚊が血を吸うのは人だけじゃないのは知っていたかな。たとえば、ヒトスジシマカは犬や猫などの哺乳類、鳥類などの血も吸う。待ち伏せするタイプといわれていて、近くに来た動物を吸血する。アカイエカは野鳥やニワトリの血も好む。ヒトスジシマカとは違って動物を探してさまようタイプで、人の家にも忍び込んでくるんだ。

蚊はどうやって人や動物を見つけて血を吸いに来るんだろう。三大要素といわれている重要な手がかりが、二酸化炭素(CO2)、におい、熱(体温)の3つだよ。一番遠くまで届いている手がかりがCO2で、人や動物の呼吸でCO2がわずかに多くなっている場所を蚊は見つけることができるんだ。

次に、人や動物が出す様々なにおいを感知しながらさらに近づく。体温の熱も手がかりにして肌に着地し、いよいよ血を吸い始める。3つの手がかりのうち2つ以上がそろうと、特に蚊が寄ってくるみたいだ。

汗をかくと蚊に刺されやすいというけれど、これは3つの手がかりがそろった状態になっているからだね。お酒を飲んでもよく蚊が寄ってくる。息から出るCO2が増えるからだと考えられているよ。アルコールを体内で分解するとCO2ができるし、ビールなどには炭酸としてCO2が溶けているからなんだ。

逆に、シャワーを浴びると蚊に刺されにくくなる。体がきれいになって汗などのにおいがなくなるのと、せっけんの強いにおいで蚊が混乱するみたいだね。虫よけスプレーは蚊の嫌がるにおいを身にまとうことで、蚊を遠ざける効果がある。

血液型によって刺されやすさが違うという話は聞いたことがあるかな。O型の人が一番刺されやすく、A型の人は刺されにくいという研究があるよ。ただ、その理由はよく分かっていない。血液型の違いを直接区別できるのではなく、血液型と同じように遺伝する別の要因が関係しているとも考えられている。

蚊に刺された後にかゆくなるのも不思議な困った現象だよね。これは一種のアレルギー反応なんだよ。蚊は血を吸うとき、気づかれにくいようにする麻酔のような成分などをだ液とともに注入する。このだ液の成分を人の体は外から入ってきた異物として認識し、強すぎる免疫反応が起こってかゆくなるんだ。

赤ちゃんが初めて蚊に刺されるときは、まだ蚊のだ液を異物として認識しないので、かゆくならないんだよ。回数が増えていくと異物として認識され、刺された場所はすごくはれるようになる。ただ、この場合の反応は大人なんかよりも遅くて、1~2日くらいかかるんだ。

刺される回数がさらに増えると、数分でかゆくなる「速い反応」になる。ちなみに、もっともっと多く刺されると免疫がだ液成分になれきってしまい、今度は無反応に戻るんだよ。海外では一晩で蚊に100回や200回刺されるような地域もあるのだけど、そこに住んでいる人はかゆくならないんだ。

(東京慈恵会医科大学の佐久間知佐子講師に取材しました)

感染症の運び屋

「人間を一番たくさん殺す動物は蚊」と言われている。1年間に70万人以上が蚊によって死んでいるとの統計データもある。ただ蜂のように刺された人が蚊自身が持つ毒で死ぬわけではない。理由は感染症だ。

蚊はウイルスや細菌などの病原体の運び屋になっている。世界三大感染症の一つ、マラリアが代表的だ。マラリア患者は世界で年2億人以上にのぼり、40万人が亡くなっている。

マラリアの寄生虫は蚊と人の体内で生活する。蚊が血を吸う際に蚊の唾液に混ざって人の体内に入り込み、体内で増えていく。逆に蚊が人の血を吸って、人の体内の寄生虫が感染してしまうこともある。

マラリアの流行地は海外だが、日本も感染症と無縁ではない。2014年には国内で約70年ぶりに、蚊がウイルスを運ぶデング熱の感染が発覚した。温暖化で蚊の生息域が広がり、グローバル化で人の移動も大幅に増えている。蚊が媒介する感染症には注意が必要だ。(越川智瑛)

グラフィックス 鎌田多恵子

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