京急、前期最終赤字272億円 11円減配
京浜急行電鉄が12日発表した2021年3月期の連結決算は、最終損益が272億円の赤字(前の期は156億円の黒字)だった。新型コロナウイルスの影響で鉄道収入が落ち込んだほか、品川駅前の再開発に向けた施設解体による特別損失なども響いた。22年3月期は鉄道収入の回復や不動産の売却益などで黒字転換を目指す。
売上高は25%減の2349億円、営業損益は184億円の赤字(同294億円の黒字)だった。コロナ影響による鉄道の利用減や百貨店の臨時休業などが890億円の減収要因、500億円の減益要因となった。年間配当は5円と11円減らす。
コロナ影響での移動の自粛や、旅行控えにより羽田空港を利用する人も減ったため鉄道事業収入は35%減と落ち込んだ。またビジネスホテルの稼働率の低下による19億円の減損損失のほか、品川駅前の再開発に向けた施設の解体費用の引当金繰り入れなど特別損失の合計は179億円に達した。
22年3月期は92億円の最終黒字転換を見込む。鉄道輸送人員では上半期末時点が19年度比で2割減、下半期末で15%減と想定している。賃貸ビルの売却益などを計上する計画。年間配当は10円を予定する。
同日、23年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。23年度の営業利益は約230億円を目指す。鉄道事業ではデジタル活用による業務効率化の推進などでコスト削減をねらうほか、不動産事業の強化にむけ保有資産の売却で資金を調達し高利回りの物件取得なども進める方針だ。