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UAゼンセン、流通部門のパート時給60円増要求へ

流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンは12日、2023年の春季労使交渉で流通部門のパート時給を6%以上、金額ベースの場合は60円以上引き上げるなど部門別の要求方針を固めた。団体を結成した12年以降で過去最高の水準となる。

19日に開く部門評議員会で正式決定する。流通業界のパート労働者は他業界や正社員と比べて賃金の低さが目立つ。物価高で実質賃金も目減りしており、格差是正を図る。

流通部門は人数が113万人と部門別で最多。パート時給の全国平均を基に要求水準を決めた。22年は総率4%以上、金額ベースで40円程度を要求した。正社員は5~6%をめどに引き上げを目指す考えで、パートも同じかそれ以上の水準を目指す。

古川大書記長は「(UAゼンセンには)賃金が低い産業や様々な雇用形態の組合員が多く、物価上昇で生活も苦しい」と話す。

同じく短時間組合員が多い総合サービス部門も、パート時給で総率6%、金額ベースで60円を目安とほぼ同水準を求める。正社員は組合員1人当たり平均6%程度を基準に、少なくとも1万2000円以上の引き上げを要求する。製造産業部門はベースアップ(ベア)で3%以上の引き上げなどを求める。

12月にまとめた全体の要求案では、パート時給は50円を目安に引き上げ、さらに1%程度の上積み要求を目指す方針を示した。流通やサービスの部門別要求は当初から上積み分を含めて、要求水準の高さをより明確にする。

正社員とパートを合わせた賃上げ目標は6%程度と、団体を結成した12年以降で過去最高の水準で、連合が掲げる5%程度も上回る。全体の要求案は18日に開く中央委員会で正式決定する。

UAゼンセンは12日、政府に対し、賃上げ実現に向けた環境整備などを2月に要請する考えを示した。企業が適正に価格転嫁して賃上げの原資を確保しやすくすることや、ガソリン税の一部を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除といったエネルギー高騰対策などを求める。

UAゼンセンは国内最大の産業別労組で、約2200組合が加盟し185万人の組合員を抱える。繊維業や医薬・化粧品業界などが加盟する「製造産業部門」やスーパーや百貨店などの「流通部門」、外食やホテルなどの「総合サービス部門」の3部門を傘下に持つ。パートなど短時間労働の組合員は6割を占める。

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賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。

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