孫正義氏「今後はアームの経営のみに集中」
ソフトバンクグループ(SBG)は11日午後、2022年4~9月期決算説明会を開いた。冒頭にあいさつした孫正義会長兼社長は「今後は(傘下の英半導体設計大手)アームの爆発的な成長を達成することだけに没頭する」と語った。日常業務の権限は後藤芳光・最高財務責任者(CFO)などの幹部に委譲する方針も示した。またアームは、これまで22年度中の上場を目指してきた方針について、23年度中へと遅らせることも明らかにした。

これまで決算説明会は孫氏が決算や戦略について30分以上にわたり説明するのが通例だった。記者からの質疑応答にも孫氏が応じていたが、今回からは後藤氏が中心となり、決算のプレゼンなどを担当した。
孫氏は「本日のあいさつをもって、当面の間は(決算の場で発言するのは)最後になる」と明かした。株主総会などには引き続き出席するという。その上で「現在の経営環境は守りを固める時期で後藤くんを中心にやってもらう。私は攻めの男だから、アームの成長に貢献するため、アームの事業計画の深いところに集中していく」と強調した。
また、アームについては22年度中の上場を目指してきたが、足元は半導体の需要が急速に悪化している。アームのイアン・ソーントンIR担当バイスプレジデントは「できる限り早くやりたいが、マーケットの環境などを考慮すると22年度中は難しい。23年度中を目指している」と述べた。後藤氏も「アームは素晴らしい企業なので無理をする必要はない」と強調した。
今後の経営環境の展望について後藤氏は「この1カ月くらいはポジティブな変化も見えてきた」と語った。ただ、ウクライナ問題などの地政学リスクに明るい兆しが見えない限りは「構造的な改善は難しい。そのためにSBGは財務面で長期間耐えられる準備をしている」と語った。