スズキが最終減益、資産売却反動や材料高で 23年3月期
スズキは11日、2023年3月期の連結純利益が前期比16%減の1350億円になる見通しだと発表した。3期ぶりの減益になる。前期に計上した工場跡地の売却益の反動が出る。四輪車の販売台数増を見込む一方、原材料価格の高騰が約850億円の利益圧迫要因になることも響く。為替レートは1ドル=120円、1インドルピー=1.6円を想定する。
売上高は9%増の3兆9000億円と過去最高になる。全世界の四輪販売は7%増の290万台を見込む。半導体不足の影響は残るが需要は強く、鈴木俊宏社長は同日の記者会見で「生産さえできれば需要に応えられる」と話した。受注残はインドで約30万台、日本で20万台程度といい、部品を特注品から汎用品に切り替えるなどで対応する。
中国のロックダウン(都市封鎖)による部品調達への影響については「LEDライトや自動ブレーキのセンサーなどの調達に影響が出ている」(鈴木社長)。調達地域や取引先の変更などを検討している。同社はロックダウンで調達が滞り、国内1工場の操業を一時的に停止した。
営業利益は1950億円と2%増えるが増加率は小さい。販売台数増などで約1100億円、円安など為替で約300億円の増益要因が出る一方、原材料価格の高騰が850億円の減益要因となる。前期(約1280億円)に続き収益の重荷となる。研究開発費や経費増なども響く。インドではプラスチックやゴムの価格も上昇しているといい、原材料を先行して購入するなどで価格上昇の影響を抑えたい考えだ。
同日発表した22年3月期連結決算は売上高が前の期比12%増の3兆5683億円、純利益が同10%増の1603億円だった。全世界の販売台数は5%増の270万台。主力のインド市場は3%増の136万台、欧州は10%増の22万台、インドを除くアジアは27%増の30万台だった。日本は半導体不足の影響が比較的大きく13%減の56万台だった。
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