/

米インフラ法への期待

新風シリコンバレー 米インタートラストテクノロジーズマネジャー フィル・キーズ氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 新風シリコンバレー

2021年11月、米バイデン大統領は1兆2000億ドル(約137兆円)の予算を同国のインフラ強化にあてる法案にサインした。大量の資金が流れて、米全体が利益を享受できることを期待しているが、もちろん、それはシリコンバレーも含んでいる。

「インフラ」といえば、どちらかというと、建設やエネルギー、交通といった従来業界が、今回の予算の大分の対象になるという印象を抱く。しかし、21世紀にIT技術が進化して、ほとんどの業界に染み込んできた。したがってテック業界も、今回の法律の恩恵に浴することになるだろう。

その象徴が高速通信規格「5G」の無線技術を含めて、米国内にブロードバンド通信を拡大するための650億ドルの予算だろう。さらに、この数年に米国の送電網やガソリンパイプにサイバー攻撃を受けており、その対策としてインフラを守るための500億ドルの資金も含んでいる。

テック業界にとって今回の法律で注目されるのは米国内の工業用途向けのあらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術がさらに普及する可能性がある点だ。テック業界では工業用途向けのIoT技術の話題が以前から指摘されているが、サイバーセキュリティーや製造業向けのIoT技術を入れ込む難しさがある点で、テック業界の期待ほど普及していなかった。しかし、今回の法案の成立で、こうした懸念にある程度、応えられるだろう。

IoTの普及に直接関連する項目がある。例えば、送電網にIT技術を搭載するスマートグリッド技術だ。インフラ法案で、25億ドルは直接にスマートグリッドを普及させることにあてられる。ブロードバンドの資金の大半は特に地方のブロードバンドインフラの拡大に利用するので、スマートグリッドや他のインフラ用途で地方に導入するIoT技術はそれなりの水準になるだろう。

送電網に限らず、インフラ法案の中に、米国のインフラを「現代化」させるという言葉がちりばめられている。貨物港から橋まで、現在のIoT技術とIoTを支えるクラウドのデータ処理技術は重要な役割を果たす。法案に盛り込まれた資金が流れれば、深刻化している物流網の改善にも役立つだろう。

一方、シリコンバレーが期待している現在の脆弱な公共交通システムの強化への資金は投じられないかもしれないとの観測が出ている。報道によるとカリフォルニア州は法案から交通用途に約95億ドルの資金を受け取るという見通しを立てている。

しかし、米連邦政府とカリフォルニア州政府の間には、公共事業整備の負担を巡る論争がある。その結果として、バイデン政権は連邦政府からインフラ法案を含めた同州への交通網整備のための資金を止める決断を21年10月末に下した。同州政府は、この決定に対して異議を申し立てている。

今より効率的な公共交通システムの整備を願う市民として、この論争を早めに解決してほしいと思っている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

日経産業新聞をPC・スマホで!

スタートアップに関する連載や、業種別の最新動向をまとめ読みできる「日経産業新聞」が、PC・スマホ・タブレット全てのデバイスから閲覧できます。直近30日分の紙面イメージを閲覧でき、横書きのテキストに切り替えて読むこともできます。初めての方は、まずは1カ月無料体験!

日経産業新聞をPC・スマホで!

スタートアップに関する連載や、業種別の最新動向をまとめ読みできる「日経産業新聞」が、PC・スマホ・タブレット全てのデバイスから閲覧できます。直近30日分の紙面イメージを閲覧でき、横書きのテキストに切り替えて読むこともできます。初めての方は、まずは1カ月無料体験!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン