日常生活に溶け込む防災、関連ビジネス続々 まとめ読み
東日本大震災から11日で丸12年。災害の激甚化に加え、新型コロナウイルス禍によって、非常時への備えに対する関心が高まっています。そうしたなかで注目されているのが、日常生活に溶け込む防災です。防災グッズを普段から使ったり目にしたりしていれば、いざという時にも一層役立てることができそうです。企業が様々なサービス・商品を展開しているほか、消費者自身による工夫も広がっています。
防災グッズをギフトに 大切な人へ「備え」を贈る

つい後回しにしがちな災害への備え。そんななか、防災グッズをギフトにする動きが広がっています。東日本大震災のボランティア仲間で起業した防災ベンチャーのKOKUA(コクア、東京・渋谷)は防災グッズのカタログギフトを企画、販売しています。モノトーンカラーの住宅用消火器や、マグネット付きで玄関扉の内側にくっつけられる防災バッグなど、インテリアになじむデザイン性の高い防災グッズをそろえています。
IoT家電で防災対応 停電に備える冷蔵庫など

IoT家電に防災機能を持たせる動きが出てきています。パナソニックは気象警報を受信すると停電に備えて庫内温度を下げる冷蔵庫を発売し、シャープはエアコンなどの家電についたスピーカーから防災情報を発信する実証実験を行いました。日常的に使う家電に防災機能を搭載することで、手軽に災害に備えられるようにする狙いです。
日常から災害に備える賃貸住宅

防災を前面に打ち出した賃貸住宅の開発も進んでいます。大東建託は浸水しても復旧しやすい戸建て・長屋タイプや、在宅避難をテーマにしたアパートを発売しました。人間関係が希薄になりやすい賃貸住宅ですが、助け合いを重視して、近隣住民と使うための防災用品も備えています。
三菱地所レジデンス、災害時の行動をカードで指示 賃貸マンションで

管理組合や防災計画書がない賃貸マンションでも災害時に居住者が迅速に行動するための仕組みづくりが進んでいます。三菱地所レジデンスは2023年秋に完成予定の賃貸マンションの共用部に大規模災害の発生時に想定されるトラブルと対処法をまとめたカードが入ったボックスを設置します。ソフト面でも防災意識を高める狙いです。
防災グッズをインテリアに 収納ボックスをDIY、自分らしさ楽しむ

消費者も防災を日常に取り込もうと工夫しています。ランタンを日常的に間接照明として使ったり、防災グッズを入れるための収納ボックスをDIYしたり。自分らしさを楽しみながら災害に備える動きが広がっています。
パントリーに注目 備蓄需要の高まりで

食品や飲料、日用品などを収納・備蓄するキッチン横のスペース「パントリー」が注目されています。防災意識の高まりに加え、コロナの感染拡大に伴う自宅療養やステイホームへの備えが備蓄需要を後押ししています。住まいに関するSNS「ルームクリップ」での検索水準はこの6年間で2.8倍に伸びています。
東日本大震災から12年となった被災地。インフラ整備や原発、防災、そして地域に生きる人々の現在とこれからをテーマにした記事をお届けします。