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液晶パネル値下がり加速 ロシアの侵攻、テレビ需要に影

液晶パネルの値下がりが加速した。テレビ用の大型の指標品は4月の大口取引価格が3月比3%安く、前月より下げ幅が拡大した。小型品も3カ月ぶりに下落した。テレビの巣ごもり需要が一巡した反動が続くほか、ここに来てロシアのウクライナ侵攻でテレビ販売が落ち込むとみたテレビメーカーのパネル調達意欲が低下した。

大口取引価格は中国や韓国、台湾のパネルメーカーと国内外のテレビメーカーが毎月決める。大型品の指標となるTFT55型オープンセル(バックライトがついていない半製品)の4月価格は3月比3ドル(3%)安の1枚104ドル前後で、9カ月連続の下落となった。3月の前月比2%安から下げ足を速め、2020年1月以来、2年3カ月ぶりの安値を付けた。小型品のTFT32型オープンセルは前月比1ドル(3%)安い1枚38ドル前後。3カ月ぶりに下落した。

液晶パネルの大口取引価格は、新型コロナウイルス下の巣ごもり需要や各国における給付金支給の影響もあり、20年夏ごろから上昇。1年でおよそ2倍に急騰した。巣ごもり需要が落ち着いた21年夏ごろから下落基調に転じている。

足元では巣ごもり需要の反動に加え、22年2月下旬に始まったロシアのウクライナ侵攻が長期化していることもパネル市況を押し下げ始めた。

米調査会社DSCCはロシアによるウクライナ侵攻をうけ、ロシアとウクライナを含む東欧地域のテレビ出荷台数を下方修正した。4~6月の東欧地域のテレビ出荷台数は1~3月に比べて4割程度減る見通しだ。韓国サムスン電子やLG電子などは3月、ロシア向けのテレビ出荷を停止するとした。

世界のテレビ出荷台数も1割ほど減る見通し。軍事侵攻が長引けば世界全体の経済活動を停滞させるとともにインフレを加速させ、消費者の購買意欲を鈍らせるとの懸念もある。テレビメーカーはテレビ販売が減退するとの警戒を強めている。直近で手持ちの液晶パネル在庫が多いテレビメーカーがパネルの調達に慎重になった可能性がある。

一方、売り手となる中国のパネルメーカーなどは出荷量の確保を優先し、需要家側からの値下げ要求を許容している状況だ。直近はパネルメーカーがシェア争いのために生産拡大を競って供給過剰になった側面もあり、採算が悪化しているとみられる。

軍事侵攻のほか中国景気の減速などを懸念する声もあり、パネル需要の先行きの不透明さが増している。DSCCの田村喜男アジア代表は「テレビメーカーの購買意欲の低下が依然として大きいため、5月以降も値下がり基調が続きそうだ」と話す。

PC向けも6~8%安く


パソコン(PC)向けの液晶パネルも値下がりしている。ノート型に使うTFT15.6型は4月の大口取引価格が1枚33ドル前後と、前月から2ドル(6%)下落した。デスクトップ型に使うTFT21.5型は前月比4ドル(8%)安い1枚49ドル前後となった。
PC向けもテレビ向けと同様に、巣ごもり需要の反動で昨秋に下落基調に転じていた。4月までにPCメーカーのパネル在庫が積み上がっていたところに、中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)が重なった。現地の製品組み立て工場の稼働が落ち込み、需給が一段と緩和したため大口取引価格が下押しされた。
(桝田大暉、松本桃香)

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