電機連合、ベア月5000円が下限 物価高で22年の3倍超

日立製作所など電機各社の労働組合で構成する電機連合が、2023年の春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について、月5000円を妥結の下限とする方向で調整していることが11日、分かった。物価高を踏まえ前年の1500円以上を大きく上回る。会社側の回答日である15日に向け各社の労使が詰めの交渉に入る。
各社の労組で組織する電機連合は主要社が要求水準を統一しており、今年の交渉では月7000円の賃金改善を要求している。各社の業績や人材戦略に違いもあることから最終的には月5000円から上積みする企業も出るとみられる。前年の回答は月1500〜3000円で満額回答の会社もあった。
電機連合と、電機各社が加盟する電機・電子・情報通信産業経営者連盟(電経連)は11日、労使懇談会を開いた。懇談会後、電経連理事長でNEC取締役執行役員常務の松倉肇氏は記者会見で「今年の(物価高などの)社会的な状況を踏まえ、今回の賃金水準の改善幅は昨年よりも引き上げる」と述べた。
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賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。