JAL、過去30年で最大のベア7000円 組合要求超える回答

日本航空(JAL)は2023年の春季労使交渉で、4月からグループ平均で約4.5%の賃上げをすると10日までに労働組合に回答した。基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)はグループ会社を含めて7000円(平均で約2.5%)とする。最大労組のJAL労働組合はベア6000円を要求していた。組合要求を上回る回答は珍しい。
9日付で回答した。ベアの金額は過去30年で最大。JAL本体の初任給も全職種で1万1000円引き上げる。ベアと初任給の引き上げはともに4年ぶりで、初任給の引き上げ額は2010年の経営破綻後で最大となる。総合職にあたる業務企画職の場合、大卒の初任給は23万9000円と従来比4.8%増える。
夏の一時金はグループ会社を含め月例賃金の2カ月分とすることもあわせて回答した。新型コロナウイルス禍前の19年以来の水準となる。冬の一時金については検討を続ける。JAL労組は6000円のベアのほか、夏と冬の一時金をそれぞれ2カ月分とすることなどを要求していた。
人手不足の深刻化が懸念されている地上業務関連のグループ会社では、賃金テーブルを改定して待遇を手厚くする。空港の旅客対応や、航空機の到着から出発までの業務を行う「グランドハンドリング」を担う企業を対象とする。コロナ禍で落ち込んでいた航空需要が回復する中で待遇を改善し、人材の確保を図る。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。