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ミールキット参入のワタミ 孤軍奮闘の宅食に活路

日経ビジネス電子版

ワタミが2月1日に立ち上げた食品宅配事業(宅食)の新ブランド「PAKU MOGU(パクモグ)」。ミールキットを家庭に届けるサービスで狙うのは20~40代の子育て世代だという。新型コロナウイルス禍で外食から宅食へのシフトが進むワタミはどんな戦略を描くのか。

「2022年度の売上高は、外食の回復をにらんでも外食と宅食の割合が50:50になるとみている」。ワタミの渡辺美樹会長兼社長は1日に開いた「パクモグ」の発表会でこう語り、宅食事業に力を入れる方針を明確にした。

20年春以降、時短営業の要請や酒類提供の制限が断続的に繰り返された影響を受けた外食業界。もちろんワタミも例外ではない。21年4~9月期の国内外食事業の売上高は54億円。コロナ禍前の19年同期と比べ4分の1の水準となっている。

その一方で孤軍奮闘してきたのが宅食事業だ。08年から宅食事業を手掛けるワタミは、チルド弁当を配送する「ワタミの宅食」と冷凍食品を配達する「ワタミの宅食ダイレクト」という2つのブランドを展開している。

21年4~9月期の宅食事業の売上高は193億円。ワタミの売上高の68%を占めるまでになった。宅食事業の売上高が171億円だった19年同期はその割合が38%だったが、今では国内外食事業と宅食事業の立場が逆転している。渡辺氏も「現状、ワタミの主力事業は宅食であるといっても過言ではない」と語る。

ワタミが2月1日から全国(北海道、沖縄県、東北や中国地方の一部地域を除く)で開始したパクモグは、1セット2~3人前のミールキットを家庭に届けるサービスだ。配送日数に応じて1セット当たりの価格は変動するが、週1日配送の場合、送料込みで1198円(税込み)から。22年内に1日3万食の販売を目指すという。

既存の宅食は50代以上が中心、若い世代を開拓

既に宅食事業で一定のブランド力を備えているワタミが新たなブランドを立ち上げるのは「ミールキットで開拓できる客層はこれまでの宅食サービスとは異なる」(渡辺氏)とみているからだ。チルド弁当や冷凍食品の配達は主要顧客が50代以上と年齢層が高い。

これに対し、パクモグで狙うのは20~40代の子育て世代だ。食材のカットなどの下処理が済んだキットは主菜、副菜合わせて約15分で調理が完了するように設計した。特に、3~10歳児が食べやすいメニューをそろえているという。

ミールキットの市場環境は好調だ。日本能率協会総合研究所(東京・港)の調査によれば、21年度のミールキット市場の推定規模は1600億円、24年度にはこれが1900億円にまで伸長する見込みだという。

食材宅配大手のオイシックス・ラ・大地の21年4~9月の連結売上高は561億円と前年同期比で18%増えた。21年11月には業務用野菜卸大手のデリカフーズホールディングスがミールキット事業に参入。24年3月期までにミールキット事業で売上高20億円超を目指すとしている。

ミールキット市場に開拓の余地があることを示すデータもある。調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)が21年7月に10~70代の男女1万123人から回答を得た調査によれば、ミールキットの利用経験者は1割強にとどまった。「直近1年間に利用した」という回答に限ればさらに少ない6.4%だった。この数値を見れば、ミールキット市場は発展途上にあるといえるだろう。

既存の拠点網を強みに

そうした中でワタミがパクモグの強みと位置付けるのは、既存の宅食サービスで構築した拠点網を生かせることだ。国内に533(21年9月末時点)の拠点を構え、食品の配送を担当する「まごころスタッフ」と呼ばれる従業員が8000人以上いる。ミールキットを加えて宅食事業の売り上げを増やすことで、注文1件当たりのコストを下げていく考えとみられる。

「競合がいる中でも、マーケットは伸びている。デリバリーはコロナ後に縮小するかもしれないが、ミールキットはまだ巣ごもり需要の恩恵を受けられていない分、開拓の余地がある」。渡辺氏はこう意気込む。

店舗の通常営業再開の時期が読めない現状では、外食事業に大きな期待はかけられない。パクモグは瀕死(ひんし)の外食事業の損失を補う起死回生の一手となるだろうか。

(日経ビジネス 神田啓晴)

[日経ビジネス電子版 2022年2月9日の記事を再構成]

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