東洋水産、5%高 投資判断引き上げを好感
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10日の東京株式市場で東洋水産株が続伸した。終値は前日比255円(5%)高の5130円。SMBC日興証券が9日、小麦価格の上昇で即席麺の値上げの可能性が高まっているなどとして投資判断を引き上げた。収益改善への期待から国内外の機関投資家に買いが広がった。

農林水産省は8日、国が輸入して製粉会社などに売り渡す小麦の価格を10月から前半期(4月期)に比べ平均19%引き上げると発表した。SMBC日興の高木 直実シニアアナリストはリポートで「即席麺は値上げに強いカテゴリーで、過去の値上げも収益性の改善につなげてきた」と指摘。投資判断を3段階で最上位の「1」に引き上げ、目標株価も従来の4720円から6000円に見直した。
東洋水産は原材料高などを背景に2022年3月期の連結純利益を前期比11%減の260億円と見込む。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用本部長は「世界的にインフレ圧力は強く、製品価格は上昇余地がある。値上げに成功すれば中長期的な成長が期待できる」と指摘する。
予想PER(株価収益率)は20倍台と日清食品ホールディングス(30倍台)など同業他社と比べ割高感はない。「目先で利益確定売りが出ても、堅調な値動きが続くのではないか」(国内証券)との見方もある。
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