三菱商事など、輸入水素をENEOSに供給
三菱商事や千代田化工建設などは10日、ブルネイで製造する水素を、ENEOSに供給すると発表した。ENEOSは製油所で石油精製などに水素を活用し、二酸化炭素の排出を抑える実証実験に使う。三菱商事などはすでにブルネイ・日本間で国際輸送を行う実証を終えており、安定した状態で水素を運ぶ技術の商業化を目指す。
三菱商事と千代田化工、三井物産、日本郵船の4社でつくる「次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)」が供給する。ブルネイで調達した水素を現地で化学物質のトルエンと反応させ、常温・常圧でも安定した状態の液体に変換して運搬しやすくする。
時期や供給量は今後具体的に検討するが、タンカーによる大量輸送を想定する。トルエンと反応させた液体の状態でENEOSに供給し、同社の川崎市の製油所で再び水素を分離する。水素は石油精製の脱硫工程や発電に使う。
AHEADが手掛ける水素供給網は、輸送や貯蔵に既存の石油タンクやタンカーが使えるのが利点となる。2020年の実証実験で技術的な検証を終えた。日本に向けた水素の安定輸送のノウハウを蓄積し、国内外で供給先を探る。
住友商事も6日、トヨタ自動車などと連携し、中部圏で大規模な水素サプライチェーン構築に向けた検討を具体化させると発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、海外輸入水素の受け入れや配送について、経済性など商業化の可能性を調査する。