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鉄道18社、22年4~6月期全社黒字 西日本で回復顕著

鉄道大手18社の2022年4~6月期の連結決算が10日出そろい、同四半期で3年ぶりに全社が最終黒字となった。運輸収入は前年同期に大阪など3府県で緊急事態宣言が発令されていた西日本で回復が顕著だった。ただ、全体では新型コロナウイルスの感染拡大前の7割程度の水準だ。首都圏は西日本に比べてテレワークが浸透し、足元の感染拡大で遠方からの移動需要も伸び悩み、今後の回復力で地域差が出る可能性もある。

近鉄グループホールディングス(GHD)が10日発表した22年4~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比21%増の112億円だった。行動制限の緩和で運輸事業や水族館などのレジャー施設の客足が回復。運輸収入は19年同期比で8割まで回復した。航空輸送などが好調な近鉄エクスプレスの持ち分法投資利益も業績を押し上げた。

21年4~6月期は売上高に占める運輸事業の割合が高いJR東日本JR東海など、18社のうち8社が最終赤字だった。当時は首都圏では東京、関西圏は大阪、兵庫、京都の3府県で緊急宣言が発令され、西日本の運輸収入の落ち込みが目立った。22年4~6月期は東日本エリア9社の運輸収入は前年同期比25%増の4920億円、近畿圏や九州の西日本エリア7社は計2700億円(同45%増)と共に大きく回復している。

もっとも18社の運輸収入合計は1兆164億円と、まだ19年同期の72%の水準だ。回復率が最も高い阪急阪神ホールディングスで85%(阪急電鉄と阪神電気鉄道の合計)。新幹線への依存度が高いJR東海は67%にとどまる。「地方から首都圏に向かう足取りが慎重だ」(JR東の深沢祐二社長)との声もあり、都市間の移動需要はまだ弱い。

今後の回復はテレワークの浸透も左右しそうだ。国土交通省の調査によると、21年度は首都圏でテレワークをしたことがある人は42%に対し、近畿圏では28%と低い。首都圏はコロナがある程度収束した22年4~6月期もテレワークが浸透し、定期収入をみると、JR西がコロナ前88%の水準に対し、JR東は77%と停滞が目立つ。

東急が10日発表した22年4~6月期の連結決算は、前年同期に固定資産の売却益を計上した反動で純利益が前年同期比22%減の72億円だった。輸送人員は定期が7%増と、定期外(20%増)より回復が鈍い。同社は「沿線にIT(情報技術)企業が多く、テレワークしやすい環境が整っている住民が多いからではないか」とみる。

非鉄道事業では阪急阪神HDや東武鉄道で自治体のワクチン接種事業の受託の効果などもあって傘下の旅行会社が回復。旅行事業は阪急阪神HDで営業損益が35億円の黒字(前年同期は37億円の赤字)。東武鉄道も営業利益が48億円と前年同期の約6倍に増えた。

一方、ホテルやレジャー事業の回復はなお鈍い。西武HDはホテル・レジャー事業の販管費などを抑えたことで営業損益が1千万円の黒字(同117億円の赤字)だったが国内ホテルの客室稼働率は39%とコロナ前水準(79%)は遠い。

7月以降は全国的に新型コロナの感染が再拡大しており、お盆期間の新幹線予約などには陰りが見られる。鉄道需要の先行きは不透明感が続く。東海東京調査センターの金井健司シニアアナリストは「感染が急拡大している足元の状況を踏まえると、4~9月期は関東圏各社を中心に回復ペースが鈍化する」とみている。

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