ENEOS、環境債100億円の発行中止 理由は「非公開」

石油元売り大手ENEOSホールディングス(HD)は9日、環境に配慮した事業に使途を限るグリーンボンド(環境債)の発行を中止した。同社広報部は「当社の都合によるもので、詳細な内容は非公開」としている。
同社は2022年、12年物の環境債100億円の発行を計画。だがウクライナ危機で市場環境が不透明になったことなどを受けて延期した。今回3年物として再検討し、3月上旬に条件を決める予定だったが発行そのものを取りやめた。
ENEOSHDは2020年に初めて環境債(3年債、150億円)を発行。脱炭素の達成条件に応じて条件が変わる「トランジション・リンク・ボンド」の10年債と20年債を22年に計1千億円分出した。
国内燃料油市場は縮小傾向で、同社は水素や持続可能な航空燃料(SAF)事業の立ち上げなど、大幅な事業構造の転換を迫られている。必要な資金確保のため環境債などに注目してきた。