西武HD、ホテル運営の新会社 所有と切り離し
西武ホールディングス(HD)は9日、ホテル運営に特化した新会社「西武・プリンスホテルズワールドワイド」(東京・豊島)を設立すると発表した。子会社のプリンスホテルでホテルの所有と運営を担ってきたが、運営機能を独立させる。新型コロナウイルスの打撃を受け、所有と運営を切り離し、効率的な経営を目指す。

12月13日に新会社を設立し、2022年4月から事業を本格化させる。プリンスホテルの小山正彦社長が新会社の社長を務め、国内外82カ所のホテルやゴルフ場、スキー場などの運営を手掛ける。約7500人のプリンスホテル社員のうち、9割以上が新会社の社員となる予定だ。
プリンスホテルは国内49カ所のホテルのうち、39カ所で土地と建物を所有している。売り上げ規模に比べて総資産が大きく、新型コロナ禍の宿泊需要低迷により財務状況悪化の一因となった。固定費を抑えて損益分岐点を引き下げるため、所有と運営を切り離すアセットライトなビジネスモデルへの転換を急いでいる。
ホテルなど資産の所有と開発に特化した体制も整備する。22年4月に西武HD子会社で不動産開発を手掛ける「西武プロパティーズ」(東京・豊島)と旧プリンスホテルを合併し、「西武リアルティソリューションズ」に社名を変更。プロパティーズの社員約500人に、プリンスホテルで不動産管理などにあたっていた社員約200人が加わる。
「西武・プリンスホテルズワールドワイド」は、外部の不動産オーナーからホテル運営の受託も見据える。西武HDは21年度中に、所有するホテルなど数十施設の売却先を選定する方針。売却先のオーナーなどに対し、「多様なニーズに迅速に対応し、オーナーの期待を上回るリターンを生み出していきたい」(荒原正明執行役員)としている。