JAL、国内線セールを中止 アクセス集中でサイトに障害

日本航空(JAL)は9日、国内線の運賃を片道6600円に引き下げるタイムセールを開始当日に中止したと発表した。アクセスが集中し、JALの予約サイトでの予約がほぼ不可能になる接続障害が発生したため。先だってセールを実施した全日本空輸(ANA)に対抗しようとしたものの、システムトラブルで中止に追い込まれた。
セールは9日午前0時に始め、14日まで4~6月搭乗分を対象に実施する予定だった。既に購入済みの場合はセール運賃で搭乗できる。国際線や国内外の旅行商品のセールは継続する。
サイトの不具合はセール開始を約10分後に控えた8日午後11時50分ごろから発生した。9日午後6時半過ぎに解消した。ウェブサイトでの予約と、スマートフォンのアプリでの4月12日以降の予約がほぼできなくなった。詳しい原因は調査中で、サイバー攻撃の痕跡は確認されていないという。
航空業界ではANAも2月28日〜3月1日に、国内線が片道7000円のセールを実施。JALは2月24日にセール実施を発表し、運賃もANAより400円安くするなど対抗意識がにじんでいた。
4〜6月は大型連休を除くと搭乗率が比較的低く、これまでも一部の座席は格安で販売してきた。新型コロナウイルス禍からの業績回復が急務になる一方、政府の観光振興策「全国旅行支援」の販売再開を見据えた買い控えもみられるなか、需要喚起のため異例のセールを打ち合った格好だ。セール以外でも格安の割引運賃で販売する傾向が強まっているとの指摘もある。
需要回復が進み搭乗率が上がれば値下げ圧力も弱まるが、国際線を中心に需要動向はなお不透明感もある。格安航空会社(LCC)幹部からは「大手の値下げでLCCの魅力が薄れてしまっている」との声も漏れる。顧客の利便性や業界の持続可能な成長を考慮して、どのような価格戦略を取るか。各社は難しい判断に迫られている。