CO2からアルコールを直接合成 北大、常圧低温で
北海道大学の研究チームは電気を使って二酸化炭素(CO2)からアルコールを直接合成することに成功した。常圧で温度は比較的低い220度で反応する。火力発電所などから回収したCO2を化学品原料に変換する用途を想定する。反応効率を高めた触媒を開発し、実用化を目指す。

開発した合成装置はイオンを通す電解質を陽極と陰極で挟んで作製する。白金を使った陽極で水蒸気から水素を取り出し、独自に開発した触媒で作った陰極でCO2と水素からアルコールを合成する。電解質には固体のリン酸塩を使った。熱でCO2からメタノールを合成できる触媒にルテニウムなどの金属を加え、電極用の触媒に改良した。
CO2と水蒸気を装置に通し、メタノールやエタノールができたことを確かめた。電極を使って常圧・低温で直接合成に成功した例は初めてだという。アルコール以外にも化学品原料になる一酸化炭素、メタンやエタンなどの炭化水素を合成できた。
反応の効率はまだ低く、炭化水素などが混じった状態で合成される。今後、狙った物質だけを高い効率で合成できるよう触媒を改良する。研究チームの菊地隆司教授は「CO2を吸着しやすくして、炭素の鎖がより長い炭化水素を合成できるようにしたい」と話す。