いすゞ、年間配当72円に増配 円安で業績上方修正
いすゞ自動車は9日、2023年3月期の年間配当を前期比6円増の72円にすると発表した。前期比横ばいだった従来予想の66円から引き上げる。米ドルやタイバーツに対する円安が進み、今期の連結純利益が前期比11%増の1400億円と従来予想の1270億円から上振れするため、配当を積み増す。
ロシア事業関連で数十億円規模の特別損失を織り込んだほか、原材料費や物流費の高騰が減益要因になるが、米ドルやバーツ、オーストラリアドルに対する円安が従来予想比で400億円の営業増益要因となり吸収する。タイから輸出するピックアップトラックなど好採算の車の販売が伸びることも寄与する。
売上高は23%増の3兆1000億円と、従来予想から1000億円引き上げる。世界販売台数は11%増の80万台と、期初計画比で微減を見込むが、円安効果で補う。
いすゞは3月にロシア子会社での生産を停止し、同国事業からの撤退を検討している。ロシア関連の特別損失について、同日オンライン会見した中俣直人常務執行役員は「詳細は決まっていない」としつつ、「設備の減損損失など、現時点で考えうる特損を下期に数十億円レベルで入れた」と述べた。
顧客からの受注残は9月末時点でピックアップトラックが13万台、国内外のトラック・バスが7万7千台に上る。中俣氏は「各地域で下期も販売好調が続き、来期もかなりの受注残を抱える。インフレ等による経済冷え込みがあっても、現時点で大きな販売減は想定しない」と先行きに自信を示した。
一方、想定より長期化する半導体不足について、南真介取締役は会見で「下期も最大の課題だ。改善に向かっているが当社が求めるほど調達できず、解消は来期にずれこむ」と見通しを述べた。
同日発表した22年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比30%増の1兆4933億円、純利益が3%増の729億円だった。
関連企業・業界