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中国新興、EVのバッテリー再利用 21年は約4万トン回収

バッテリーのリサイクルを手掛ける傑成新能源がシリーズAで1億元(約20億円)超を調達した。中銀粤財(BOC & UTRUST Private Equity Fund)がリードインベスター、光大控股(China Everbright Limited)などがコ・インベスターを務めた。今回の資金はバッテリーリサイクル技術の研究開発と生産能力拡充に充てられる。

傑成新能源の設立は2012年。新エネルギー車の使用済み駆動用バッテリーの資源化・再利用に取り組む。同社が本社を置く深圳市は世界でも有数のリチウム電池の製造拠点である粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)に位置する。バッテリーの回収・買い取りから保管・輸送、品質レベルに応じたカスケード利用、分解、製錬までを一元化した産業チェーンを構築し、リサイクルやカスケード利用、湿式製錬のサービスを展開している。

新エネルギー車の普及に伴って駆動用バッテリーの回収、廃棄が盛んになった。同時に原材料価格の高騰によりリチウム電池の供給が厳しい状況にあることから、使用済みバッテリーのリサイクル・リユースは注目を集める分野となっている。

傑成新能源の創業者である鄭偉鵬・最高経営責任者(CEO)によると、現在同社は特にカスケード利用、分解、湿式製錬、再資源化の4分野に力を入れている。

廃棄バッテリーのカスケード利用では、容量が20%以上減った駆動用バッテリーを蓄電用、低速電動車用など性能に合わせて用途を変えながら再利用する。同社はこうしたカスケード利用を管理するシステムを開発している。

用途を変えても利用できないバッテリーや再利用に適さない型の廃棄バッテリーは、まとめて無害化処理を施しリサイクルできるようにする。その後、湿式製錬技術によって分解した材料を再処理し、リチウムやコバルト、ニッケルなどを回収して再びバッテリーの材料とする。

また、再資源化に関する研究開発では、バッテリーメーカーや完成車メーカーとともにバッテリー材料の循環利用メカニズムを構築、廃棄物の原材料再生化に取り組んでいる。

鄭CEOは「バッテリーリサイクル技術はある程度成熟しているが、これまで事業規模が小さかったことから、まとまった量の廃棄バッテリーの検査や大規模な処理は今後の大きな成長が期待できる」と指摘する。

例えば廃棄バッテリーをカスケード利用する前に、バッテリーの内部抵抗や充電サイクルの残回数、充放電性能、電池モジュールの製造方法などのデータを確認することが必要になる。傑成新能源ではこうしたデータを高速で取得できる検査装置も自社開発した。

製錬に関しては、これまではニッケルやコバルトを燃やして蒸発させ結晶化し、前駆体や正極材料にする方式が業界の主流だった。しかし新エネルギー車から廃棄される大量のバッテリーに対応するには、さらに技術効率を向上させる必要がある。

鄭CEOによると、現在同社は冶金製錬の新技術開発に取り組んでいるという。蒸発や結晶化など中間プロセスの一部を省略して材料の回収量と利用効率を高めることで、消費エネルギーの削減を目指す。

傑成新能源の21年のバッテリー回収能力は4万トン程度だった。フル稼働で対応している状態だったが、22年は業界全体で使用済みバッテリーの急激な増加が見込まれる。大量の処理需要に応えるため、同社は深圳市と恵州市に加え、広東省江門市の産業パークにも処理能力が30万トンを超える拠点を新設する。また、長江デルタ地区、北京・天津・河北省、成都や重慶などでも廃棄バッテリーのリサイクル基地建設を進めている。

傑成新能源はすでに中国スマホ大手のvivo(ビボ)、中国ドローン大手のDJIのほか、欣旺達電子などバッテリーメーカー、比亜迪(BYD)などEVメーカーを含め多くの有名企業と緊密な協力関係を築いている。傑成新能源の21年の売上高は数億元(数十億円)だったが、22年は前年比6倍の増収を目指している。

・「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

・中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/1835700725163011)

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