新宿西口再開発、東急不動産も参画 小田急と2000億円

小田急電鉄は9日、新宿駅西口(東京・新宿)で進める再開発計画で、新たに東急不動産を共同事業者の候補に選んだと発表した。両社でまず2000億円程度を投じる。小田急は開発実績の多い東急不動産と組み、2029年度の完成を目指す。
小田急百貨店新宿店本館のあるエリアなどの再開発では、これまで小田急と東京地下鉄(東京メトロ)が複合施設を設ける計画を発表していた。地上48階、地下5階建てで高さ260メートルの超高層ビルを建設し、中には商業施設やオフィスなどが入る予定だ。22年10月に着工する。
新たに東急不動産の参画で基本合意した。小田急が敷地の提供、東急不動産が建物の開発を担い、開発後は土地や建物を共同で所有する。小田急と東急不動産でまず2000億円ほどを予定し、総事業費はさらに大きくなる見込みだ。
小田急は沿線の新宿で小田急百貨店や他の商業施設などを展開してきた。訪れた人や企業同士が交流する場を設けたり、歩いて周遊しやすい街づくりを進めたりする考えだ。新宿周辺を活性化し魅力を高め、鉄道利用の増加にもつなげる。
東急不動産も今回の開発を機に新たな拠点形成を狙う。大手町や日本橋といった東京の東側のエリアは三井不動産や三菱地所といったデベロッパーの地盤とされ、東急不動産は渋谷など「西側での開発が強み」(同社)とする。
主軸とする渋谷だけでなく、近年は竹芝エリアなど他の地域でも開発を強化。西側に位置する新宿駅周辺はこれまで大手不動産との関わりが薄かったとされるが、東急不動産は今後の再開発に期待し新宿での事業に取り組む。
再開発に伴い、小田急百貨店は新宿店本館の営業を22年9月末で終えることが決まっている。営業終了後は、食品や化粧品、高級ブランドなどの一部の売り場を、隣接する新宿西口ハルクに移管する予定だ。